米国6月CPIの下振れで金融市場はFRBの9月利下げをほぼ確信:日本政府は円押し上げ介入を実施
1ドル160円~165円で歴史的円安はピークをつけるか
円安圧力が強い中で当局がドル売り円買い介入を実施して、市場の流れに立ち向かっても、その影響が直ぐに市場に吸収されてしまうことがある。他方、何らかの材料をきっかけに一時的に円高に振れた局面を捉えて円の押し上げ介入を実施すると、非常に有効な介入となることがある。今回はそのケースではないか。 神田財務官は7月末に3年の任期を終えるが、その前に円安阻止で決着をつけておきたいという思いで、今回の為替介入に踏み切った可能性も考えられるだろう。 9月にはFRBの利下げが実施され、日銀の利上げと合わせて日米金利差が双方向から縮小へと向かう。これは円安の流れを転換させることが予想される。今回の為替介入は、そこまでの時間稼ぎとして効果を発揮するのではないか。 再び1ドル160円を超えて円安が進む可能性はあるが、1ドル165円まで円安が進む可能性は低下したのではないか。2022年以来の歴史的な円安進行も、1ドル160円~165円をピークにようやく反転すると見ておきたい。今回の米国の6月CPIとその後に実施されたとみられる為替介入は、為替市場での大きな転換点となった可能性があるだろう。 木内登英(野村総合研究所 エグゼクティブ・エコノミスト) --- この記事は、NRIウェブサイトの【木内登英のGlobal Economy & Policy Insight】(https://www.nri.com/jp/knowledge/blog)に掲載されたものです。
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