野球を「愛する気持ちが伝わってきた」 身体障害者との出会いに井口資仁氏が感銘
障害のない井口氏が障害がある選手に送るアドバイス
「MAXIV LIEN PROJECT(マキシヴリアンプロジェクト)」の一環として開催された野球教室には、東京、千葉、埼玉、群馬、静岡から6チーム、約80人が参加。キャッチボールやロングティーに加え、守備練習では井口氏が1人1人にもれなくノックを打つ場面も。室内球技場を満たす参加者の野球熱に突き動かされるかのように、井口氏は精力的に会場を隅から隅まで歩き回り、実演を交えて熱心にアドバイスを送った。 それぞれが自分の体に合った投球フォームや打撃フォームを見つけ、野球に取り組む選手たちに対し、障害のない井口氏がどのようなアドバイスを送るのか。そんな疑問も沸いてくるだろうが、答えは「基本的な体の使い方はそんなに変わらないと思いますよ」とシンプルだ。 野球を職業とするプロであれば、多少の怪我を押してでも試合に出場しなければならない時がある。「僕も片手でしか打てない時の打ち方とか、色々な練習をしましたから」。自分が練習していた時のイメージや感覚を思い出しながら「しっかり脇を締めて振るといいですよ」「もう少し体に角度をつけるといいかもしれません」と助言。車椅子を使う選手に打撃の質問を受けると、自ら膝立ちになって同じような状態を作り、実演してみせた。 「どうしても腰が固定されてしまうので、回転できないというか、バットが外回りになって引っ掛けるような打球が増えてしまう。回転できない状態でセンター方向に打ち返すにはどうしたらいいか。それには打席に入った時の体の角度が大事になってくる。これはキャッチボールの時も同じ。どの角度が一番いいかという話をしました」 それまでゴロになる打球が多かったが、アドバイスを受けた後はライナー性の打球が増えた。もちろん上手くいかないスイングもあるが、以前とは違う手応えを掴んだ様子。チームメートに「良かったな!」と声を掛けられると、はみ出しそうなほど大きな笑顔を見せた。