結局「ポピュリズム」とは何なのか...世界中が「極端な政党」に熱狂する理由
激しい “ポピュリズム旋風”
このような右派ポピュリズムは、たとえば、ハンガリーのオルバーン首相がトランプ氏を訪問するなど政治家同士が相互訪問・会談をして、連帯の動きすら見せています。世界各地に展開するグローバル企業にとっては、看過できない動きでしょう。 ポピュリズムは揶揄され、アンチ・トランプ派を見ればわかる通り、リベラルには特に嫌われています。「そういう政治家が好きか?」と問われたら、私もあまり好きではありません。 しかし “一般大衆の思いの代弁者” という観点で言えば、「実は民主主義のあるべき姿の一つかもしれない」という気がしなくもないのです。 そんな気がしてくるのは、あまりにも激しい “ポピュリズム旋風” のせいでしょう。 西欧を闊歩するのは、右派ポピュリズム。 フランスの国民連合、ドイツの「ドイツのための選択肢」など右派ポピュリズム政党はいくつもありますが、政権をとっているのはイタリアの「イタリアの同胞」くらいでした。 2023年11月、オランダの右派ポピュリズム政党、自由党(PVV)が躍進。世界で初めて同性婚や安楽死を認めた人権先進国の選挙結果は、世界に衝撃を与えました。 これほど多くの人が右派ポピュリズム的な思想に結びついた政党を支持するのはなぜか、どのように対応すべきか、その理由を誰もが探しているのかもしれません。
著者プロフィール
山中俊之 ◉─著述家・コラムニスト。歴史、政治、芸術、宗教、哲学、ビジネスなどの視点から、世界情勢について執筆活動を展開。 ◉─1968年兵庫県西宮市生まれ。東京大学法学部卒業後、1990年に外務省入省。エジプト、英国、サウジアラビアに赴任。対中東外交、地球環境問題、国連総会、首相通訳(アラビア語)を経験。エジプトでは庶民街でエジプト人家庭に下宿。外務省退職後、日本総研でのコンサルタントを経て、2010年株式会社グローバルダイナミクスを設立。世界各国の経営者・リーダー向け研修において、地球の未来を見据えたビジネスの方向性について日々活発な議論をしている。芸術文化観光専門職大学教授、神戸情報大学院大学教授。長崎市政策顧問として地域創生を支援。神戸市のボランティア団体で、ホームレス支援に従事。 ◉─2024年6月現在、全世界97カ国を訪問して、農村・スラムからミュージアム、先端企業まで徹底視察。大阪大学大学院国際公共政策博士、ケンブリッジ大学修士(開発学)、ビジネスブレークスルー大学院大学MBA、高野山大学修士(仏教哲学・比較宗教学)、京都芸術大学学士(芸術教養)など取得。リスキリングについても活発な提案をしている。 ◉─著書に、『「アート」を知ると「世界」が読める』(幻冬舎新書)、『「世界の民族」超入門』『世界5大宗教入門』(ともにダイヤモンド社)などがある。
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部