高知・平を変えた3人の友 1年から投げ合った球友・高尾と夏での再会切望「まだ借りは返せてない」
「選抜高校野球・1回戦、広陵3-1高知」(21日、甲子園球場) 1回戦3試合が行われ、高知(高知)は広陵(広島)に敗れた。 高知の平悠真投手(3年)がマウンドに向かったのは2点リードされた五回だった。雪の舞う甲子園。寒さは、みじんも感じない。緊張も「なかった」。3人の友がいるから。 帽子のつばに書かれた「仲間の為」の文字。甲子園入りし、一番仲のいい近藤晴大選手(3年)と一緒に考えた。ミスで落ち込みがちな自身の性格を熟知する近藤が「仲間がいるんだぞ」と贈ったメッセージでもある。 この文字に、そしてスタンドでは今回ベンチ入りがかなわず応援団長を務める近藤の声援に励まされながら、持てる力を振り絞った。 いつでも辻井翔大投手(3年)から平へのリレーで戦ってきた。プロ注目の逸材でもある平は「野球が好きじゃなかったし、練習しなくてもやれる(通用する)やろ」という意識のまま入部。しかしそこにいた辻井の野球に打ち込む姿、そして成長を目の当たりにし「焦りましたね」。平を変えてくれた友だ。 相手マウンドには大会屈指の好投手・高尾。1年から練習試合で投げ合った。最初の試合は0-0。しかし昨秋、3-11と大敗。自身も「7点くらい取られた」と言う。 この差を埋めるべく鍛錬の冬を過ごし、球友・高尾と堂々、渡り合った。「レベルの差はない。ただマウンドさばきなど学ぶところは多い」。そのライバルに「まだ借りは返せてないので」と再会を切望する。その夏までに、3人の友が平をさらに大きくしてくれるはずだ。