31歳、冬ボーナスが「30万円」でしたが、昔は「社会保険料」が引かれてなかったって本当ですか…?
会社員が受け取るボーナスからは「社会保険料」などが引かれています。そのため、冬のボーナスが30万円だったとしても、その手取り額はもう少し低くなる可能性があります。 ところで、いまでは当たり前になっているボーナスからの社会保険料の天引きですが、昔は行われていませんでした。一体、なぜこのような制度が始まったのでしょうか。2023年の冬のボーナスの平均支給額や、ボーナス30万円の手取り額などとともに解説します。
大企業と中小企業の冬のボーナスの平均支給額
日本経済団体連合会の調査によると、大手企業の2023年冬のボーナスの平均支給額は90万6413円でした。増加額と伸び率は、前年比1万2234円と1.37%となっています。また、大阪の信用金庫のアンケート予測によると、中小企業の2023年冬のボーナスの予想平均支給額は、29万7477円になるという結果が出ています。なお、増加額と伸び率は、前年比8212円と2.8%です。
ボーナスから社会保険料の天引きが始まった時期と理由
ボーナスからの社会保険料の天引きが始まったのは、1994年4月からです。この制度は「特別保険料」と呼ばれ、「厚生年金保険料の1%分を労使で折半する」というもの。 それまでも、毎月の給与から社会保険料が天引きされていたため、給与の一部をボーナスに移して保険料を減額させる企業もありました。そういった内容を是正するため、国は1994年4月からボーナスからも社会保険料が天引きできる特別保険料を導入したのです。ところが、特別保険料は支払った保険料が年金額に反映されない仕組みであったため、被保険者からの不満の声が少なくありませんでした。 そこで、国は特別保険料を廃止し、保険料が年金額に反映される「総報酬制」に切り替えることを決定します。総報酬制は、2003年4月から開始され現在(2024年1月時点)に至っています。
2023年冬のボーナスから天引きされる社会保険料はいくらになる?
ボーナスから天引きされる社会保険料は、健康保険料、厚生年金保険料、雇用保険料です。ここでは、冒頭で紹介した内容を目安としてボーナス金額が90万円と30万円の場合の社会保険料をシミュレーションします。 ※前提条件:30歳独身、東京在住の一般事業従事者 ・社会保険料の算出方法 健康保険料と厚生年金保険料は、ボーナス金額で異なる等級によって決まります。「健康保険・厚生年金保険の保険料額表(東京都)」によるとボーナス90万円の場合、健康保険は41等級(4万4000円)、厚生年金保険が32等級(5万9475円)です。 一方、ボーナス30万円の場合は健康保険が22等級(1万5000円)、厚生年金保険は19等級(2万7450円)となります。また、一般事業の雇用保険料率(労働者負担)は0.6%です。 ・ボーナス90万円の社会保険料の目安 ボーナスが90万円の場合の社会保険料は、約10万8875円(4万4000円+5万9475円+90万円×0.6%)です。 ・ボーナス30万円の社会保険料の目安 ボーナスが30万円の場合の社会保険料は、約4万4250円(1万5000円+2万7450円+30万円×0.6%)です。 ボーナスの手取り額は、ボーナスの金額から社会保険料と所得税額を差し引くことで算出できます。また所得税額は、ボーナスから社会保険料を控除した金額に「賞与に対する源泉徴収税額の算出率」を乗じて計算します。 ※算出率:ボーナス金額90万円(28.588%)、30万円(6.126%) ・2023年冬のボーナスが90万円の場合の目安となる手取り額 まず、源泉徴収される金額は「(ボーナス90万円-社会保険料10万8875円)×28.588%」で算出し、約22万6167円(小数点第1位四捨五入)となります。そのため、手取り額は約56万4958円(ボーナス90万円-社会保険料10万8875円-22万6167円)です。 ・2023年冬のボーナスが30万円の場合の目安となる手取り額 源泉徴収される金額は「(ボーナス30万円-社会保険料4万4250円)×6.126%」で算出し、約1万5667円(小数点第1位四捨五入)となります。そのため、手取り額は約24万83円(ボーナス30万円-社会保険料4万4250円-1万5667円)です。