北欧モダン家具の名匠による約50点を展示。パナソニック汐留美術館『ポール・ケアホルム展』レポ
建築家・田根剛が語ったケアホルム作品の「崇高さ」
今回の展示空間を設計した建築家の田根剛は「デザインという価値観やものの考え方が非常に大切になってきている時代のなかで、『ポール・ケアホルム展』を開催できたことは大きな意味があると思っています」と話し、「今回のポール・ケアホルム展は非常に『難しい』です。この難しさがデザインの価値を高める展覧会としてのひとつの意義だと思います」と語る。 また、タイトルにある「ミニマリズム」と「タイムレス」について以下のように解説した。 「1950年代の、戦後で物がつくれなかった時代にものをつくる創造的な力、またそこで開発された戦時中のいろいろな技術、それを人が機械を使ってかたちにしていくスタイル。いまは機械が人を使う、または人すら必要のない時代ですが、(当時のデザインは)クラフトを超えてものをつくろうとした時代から生まれてきた優れたものづくりです。いまこの時代につくろうと思ってもまずできないほどの技術力と、それに対するものをつくろうとするデザイナーの精神力が発揮されていると思っています」 「タイムレスというタイトルにもひとつの考え方があります。『美と崇高』という概念の『美』は時代によって変わってしまいますが、『崇高』はある種の厳しさであり、厳格さであり、畏怖の念を感じるもの。それがタイムレスという言葉のなかでケアホルムの作品に現れていると思います」 展示は9月16日まで。7月20日以降の土、日、祝日は日時指定予約制で、オフィシャルサイトから申し込みが必要となっている。
テキスト by 廣田一馬