冷蔵庫から考える人類とオゾンホールとの戦い
ついこの前まで寒かったような気がしているのだが、ゴールデンウイークで一気に気温が上がった。幸い沿岸の海水温が平年並みを保っているので、海に近い茅ヶ崎はそこまで暑くはなっていない。一方で、このゴールデンウイークに最高気温30度以上を記録した地域もあった。5月に30度を超えるとなると、これはもう萩原朔太郎が「私の大好きな五月」と詠んだ5月ではない。「そんな5月はいらない」という大喜利のネタだ。 気温が上がると、草木が芽を出す。「草萌ゆる」は春の季語、春は生命の息吹を感じさせる季節――なのだが、それは同時に庭で一斉に雑草が伸び始めるということでもある。ご多分に漏れず私の住む実家の庭でも一気に雑草が芽を出してみるみる伸びてくる。暇を見て抜いてはいるのだが、なかなか大変だ。 時折庭木の剪定(せんてい)を頼んでいる植木屋さんに相談してみる。「雑草が伸びてしょうがないのだけれど、どうしたらいいですかね」。 「除草剤を使いましょう」と、身も蓋もない答えが返ってきた。 「除草剤って、庭の雑草にほいほい使っていいんですか」 「環境に悪いと気にする人もおられますが、使い過ぎなきゃいいんですよ。液体の除草剤は効果も限定的だし、ここぞという場所に雑草が生えるタイミングでまいておくと庭の管理が楽になりますよ」 そういうものなのかと思い、試験的にブロック塀の根元に少量をまいてみた。確かに雑草は生えてこなくなり、いくぶん庭の管理は楽になった。 この時期困るのは、クローバーだ。生命力が強く、むしってむしっても次々生えてくる。むしるのは簡単なのでクローバーにせっせと除草剤をまく気にもならないが、かといって放置すれば庭は一面クローバーで覆われてしまう。 いろいろ試した末に、今はホームセンターで買った草を焼くバーナーで対処している。カセットコンロのガスボンベを使って炎を吹き出す小さなバーナーだ。クローバーは茎が細く、葉も薄いので、炎であぶると簡単にしおれる。もちろん火事になるといけないので使うのは雨上がりのタイミングのみ。かつ、使用後は水を撒くようにしている。 しかし、ゴールデンウィークで30度越えとなると、この夏の暑さが心配だ。 ●1994年を覚えてますか? 自分の記憶では、初めて「この夏はおかしい。暑すぎる」と思ったのは、猛暑の年として記録されている1994年だった。 1994年、サラリーマン生活8年目の私は7月に一足早い夏休みを取った。8月のお盆休みは空っぽになった都心のオフィス街で快適に仕事を……と思っていたら、滅茶苦茶な暑さで、汗をだらだら流しながら歩き回るはめになり、「タイミングを間違えた!」と後悔したのだった。なにしろ、前年の1993年は宮沢賢治の「サムサノナツハオロオロアルキ」を思わせるほどの冷夏で、米不作から外米輸入という騒ぎがあったのだ。それが次の年は一転して猛暑だから、かなりびっくりした。 気象庁のページで、1994年8月の東京の気温を調べると、8月3日に最高気温39.1度(現在でも東京の日最高気温としては観測史上2位の記録)を記録していて、ああそうか、このタイミングで「異常に暑い!」と感じたのかと分かる。当時は、東京であっても、夏はエアコンをつけなくても過ごせなくはない、という感覚で暮らしていた。そこにいきなり39.1度だから、これはかなりの衝撃だった。 その後も延々と33度以上の日が続き、最高気温が30度を下回ったのは下旬に入った21日の24,9度。20日から23日にかけて雨が降って気温が下がったものの24日からまた最高気温30度台に復帰している。 が、これでも「世界が観測史上もっとも暑かった」2023年に比べるとだいぶましなのだ。1994年8月の東京は、最高気温が33度を下回る日が13日あったのに対して、2023年はたった6日なのだ。では最低気温が25度を下回る日は、と数えると1994年は7日、2023年は2日なのである。