首位三遠の前に立ちはだかった前年度王者の琉球ゴールデンキングス「CSを意識する中で2連勝できたことは自信に繋がる」
大野HC「この2連敗が代償になれば良い」
一方、三遠の大野篤史ヘッドコーチは「初戦に比べ、ホームをしっかりと守るという姿勢、自分たちのディフェンスのスタンダードにトライしているというのは評価できる」と第2戦を総括。しかし、「この2連敗が代償になれば良い」と話したように、初の同一カード連敗を喫した事実を重く受け止めた。「バイウィーク期間中に感じたリラックスをしている雰囲気、今までの結果やアジャストメントできるであろうというある種の満足感。それに対して危機感を持ってアプローチをしていましたが、試合をして結果(敗戦)として出ないと気づかないことです」 今シーズン初めて20分以上プレーした太田敦也は「この2連敗でB1を戦い抜くことの難しさをあらためて痛感しました。CSを勝ち抜く上での自覚が足りなく認識が甘かったですが、それでも手遅れになる前にこのタイミングで気付かされたことは救いだった」と戒めとも取れるコメントを残した。 カークの帰化により『チャレンジ』をしていくことがテーマのように見受けられた琉球に対し、三遠は『原点に帰る』という対照的なスタンスがとても印象的だった。今回、メイテンがコンディション不良で出場できない状況でも「誰が出ても自分たちのしてきた事をプレーする。どんな事を背負ってプレーするのか、ホームコートで戦うことがどれだけ重要なのか。原点に帰り、共通認識を持ってプレーすることが大事」と大野ヘッドコーチは言う。復帰した佐々木隆成も「自分たちの強みは強固なディフェンスから速いバスケットを展開することで、そのベースを上げていくことが必要」と立ち返らなくてはいけない事を強調した。 そして、「言い訳を探すのか、劣勢の状況で全員が勝てる道筋を見つけようとするのか、その違いだけ」と大野ヘッドコーチは語気を強めたが、一方で「観客の皆様の声援は、期待している量が高まっている現れが声の量だと思います。それが当たり前だと思うようにならないこと、だけど望まれる立場になったことには喜びを感じながら、それ以上のものを望まれる集団になっていかなくてはいけない」と、急成長を続けてきたチームをサポートしてくれているブースターへの気配りも垣間見えた。 三遠は『経験値の差』を残りの試合でどのように培っていくのか。琉球はこの数試合で圧倒的なチーム力を見せつけてきているが、どれだけ選手をマネジメントし、バイウィーク前に露呈していた不安定さを解消できるかが鍵になってくるに違いない。 また、この2チームに共通する見どころといえば、やはり事前の準備能力だろう。そこにはコーチ陣、スカウティングチームの絶え間ない努力が影にはあるが、琉球は今までのアベレージを凌駕するファーストブレイクで連日二桁得点を生み出し、桶谷ヘッドコーチは「三遠さんのウィークポイントであるトランジッションディフェンスを突いた結果」と語った。一方の三遠も、桶谷ヘッドコーチ自身も話していたカーク、クーリーのスピードに対するディフェンス面の脆さを序盤から突いていくなど、互いに研究した結果をプレーで示してくれた。CS出場が有力視されている2チームだけに、こうした戦術面に目を向けることもまた一興だ。
河原田高広