ヤマハ セロー225の最終進化形「WE」とは? チューブレスリヤタイヤを採用、燃料タンクはさらに大きく(1997~2005年)
ヤマハ セロー225WE【第4世代】(1997~2000)「リヤタイヤをチューブレス化、燃料タンクを拡大」
高性能車がひしめく1980年代半ば、1985年に登場したセロー225。開発段階では、凡庸な性能でセールスポイントがないとヤマハ社内でも言われ、そのデビューは決して満場一致で推されたものではなかったようだ。 【画像10点】セロー225の最終モデル「WE」も排ガス規制前、規制後で2種類ある! 各モデルの特徴を写真で解説 オフロード車と言えば十二分な足回りのストローク量を確保し、ジャンプでもガレ場のような道でも路面にヒットしない十分なロードクリアランスが確保されなければならない──それがオフロードモデルの車体として常道の発想だったが、それが万人にとっての正解なのか。 そうした疑問も持ってセロー225に関わった開発陣は、「二輪二足」でダートや山道に分け入る面白さを世に広げ、街なかでもツーリングでも気軽に乗り出せる利点に着目したユーザーの需要を掘り起こした。 セルを装備した第2世代(1989年~)、リヤブレーキをディスクとした第3世代(1993年~)を経て、21世紀に入っても熟成を続け販売が行われた。当記事ではセロー225の最後期型といえる「セロー225WE」を解説していく。
セローの持つ幅広いシチュエーションへの適応力により、オフロード走行を楽しむユーザーだけでなく、ツーリングメインのユーザーも数多く獲得することになった。 それは万能とも言えるセローの能力ゆえの現象だったのだが、ツーリング派からはさらなる航続距離の増大や扱いやすさのアップ、そしてメンテナンスの容易さが求められていた。 そうした声に応える形で1997年に登場した4JG5は、フューエルタンク容量の増加に加え(8.8L → 10L)、キャブ口径を34mm径から31mm径へと小さくし、同時にフライホイールマスも増大させエンジンの中低速域でのさらなる扱いやすさを確保。 また、リヤタイヤには独自のスポーク形状を採用しチューブレス化を果たしている。従来、スポークの首(曲がった側)をハブ側に引っかけ、ニップルをリムに貫通させて張り調整をしていたものを、まったく逆の配置をしたのである。スポークの首をリム側に設けられたリブに引っかけて、張り調整はハブ側のニップルで行う仕組みだ。 これらはツーリング派だけでなくオフロード派にとっても歓迎すべき変更だった。リヤのチューブレスタイヤは極限の0.2~0.3kg/cm2くらいまで空気圧を落とし、以前はあきらめていたような難所を抜けることも可能としたのである。 そのほかユーザーフレンドリーな改良としては、ロック機能(ヘルメットホルダー兼用)付き大型ツールボックスの採用も挙げられる。