平井伊都子の「2024年 年間ベスト海外ドラマTOP10」 “ヒーロー”が世界各地で語られた1年
映像や音楽の没入感で視聴者を惹きつけるドラマが増加傾向に
韓国ドラマの『ヒーローではないけれど』はドラマ全体を包む音楽が特別な視聴体験を作った。評価が分かれる『一流シェフのファミリーレストラン』S3第1話も、物語を語るだけでないドラマシリーズの可能性を模索したエピソードだった。映画よりも長い時間を共にするドラマシリーズだからこそ、視聴ボタンを押し続けさせる仕掛けが必要になる。週1回放送では機能していた “クリフハンガー”スタイルが廃れ、映像や音楽による没入感で視聴者を惹きつけるドラマが増えていくだろう。 “ヒーロー”が年間を通して、そして世界各地で語られるテーマだったのではないかと思う。サム・メンデスが企画・監督を務める『ザ・フランチャイズ』は、ヒーロー映画の裏側を描くコメディ。映画業界と観客がヒーロー映画に愛想をつかした理由を暗喩させる皮肉が効いている。『ヒーローではないけれど』、そして『イカゲーム』は、救済に対する強迫観念を違った切り口で考える。第2位に挙げながらもエンバーゴ(情報解禁日)の都合でなにも言えない『イカゲーム』については、別のレビューにて。 参照 ※ https://prodpro.com/blog/q3-2024-global-production-report/
平井伊都子