老後の資金不足を解消するのだけが目的ではない…定年後も働き続けることで得られる「お金より大切なもの」とは?
年金だけで老後の暮らしが十分成り立つという人は一握りで、多くの場合は資金が不足します。資金不足を解消する手段のひとつは「老後も働き続けること」ですが、現役世代とシニアとでは、勤労観が変わるといいます。本記事では『一生、月5万円以上の配当を手に入れる! シニアが無理なく儲ける株投資の本』(日本実業出版社)から、著者の〈川島睦保氏〉がシニアにとっての「働く目的・意義」について解説していきます。 【早見表】年収別「会社員の手取り額」
老後も働き続けて「老後をなくす」!?
住友生命のサイト記事「老後の生活費は平均いくら? 資金計画のポイント3つを解説」によると、平均的な老齢年金額は夫婦で月額約22万円であり、それから老後の世帯生活費の平均月額の約28万円を差し引くと、毎月約6万円が不足する。 この不足額を埋めるための現実的な選択は、(1)働き続けるか、(2)資産運用するか、の二択しかない。このうち(1)については、仕事で稼ぐ=死ぬまで月6万円稼げる仕事を現役時代に準備するということだ。 平均的な老後生活の場合、仕事でひと月当たり6万円稼ぐことができれば、「月当たり不足額(約0万円)=生活費(28万円)-公的年金(22万円)-仕事の稼ぎ(6万円)」となって、不足額はゼロとなる。 これは「働き続ける」ことで「老後をなくす」作戦だ。言葉遊びのようだが、公的年金のほかに月6万円の労働収入がずっと維持できれば、老後資金の不足を心配する必要がなくなる。 ところで65歳以降も働き続けるといっても、そんな都合の良い仕事や職場が簡単に見つかるのだろうか。「そんなのないから頭を悩ましているのだ」。お叱りの声が聞こえてきそうだ。 しかし「働き続ける」といっても、現役時代のように月給40万円や50万円のフルタイムの仕事に就くわけではない。月に6万円を稼ぐ仕事ならハードルが下がる。 実際、多くの人が農業や運送業、施設警備や交通誘導、マンション清掃、販売業、接客業などで働いて、老後の資金の不足を補っている。 とくに警備や清掃は、シニア向け求人が多い。どちらも農作業と同じく屋外で立ったまま仕事をする時間が長く、体力の消耗が激しいが、体力に自信がある人なら挑戦する価値はある。 警備の仕事は、商業施設やオフィスビルなどの安全を守るのが目的だが、時には女性や子どものエスコートなどの仕事もある。仕事の内容はかなりハードだが、時給は悪くない。 ネットの広告を見ると、東京・神奈川エリアの交通誘導警備員の募集広告には「日給1万円~、夜勤1万2,500円~」と記されている。「勤務時間は8:00~17:00(1時間休憩)」。しかも3日間の研修があり、警備の仕事が初めての人も安心と記されている。仕事に就く前に3日間の研修に参加すれば2万円が支給される、という。 高齢になってからの警備員の仕事は肉体的・精神的にかなり過酷だが、この仕事を月に6日間だけやれば目標の6万円は稼げる。 スーパーやコンビニで時給1,000円(東京や神奈川など)のアルバイトをする場合、1日4時間×15日間働けば目標の6万円に到達する。夫婦2人でアルバイトすればそれぞれ7.5日間働くだけで済む。