世界を変える「アントレプレナーシップ」…アメリカの大学で経営を教える日本人が語る絶対に持つべき「変革する力」の正体
近年注目が集まっているアントレプレナーシップ。「起業家精神」と訳され、高い創造意欲とリスクを恐れぬ姿勢を特徴とするこの考え方は、起業を志す人々のみならず、刻一刻と変化する現代社会を生きるすべてのビジネスパーソンにとって有益な道標である。 【漫画】頑張っても結果が出ない…「仕事のできない残念な人」が陥るNG習慣 本連載では、米国の起業家教育ナンバーワン大学で現在も教鞭をとる著者が思考と経験を綴った『バブソン大学で教えている世界一のアントレプレナーシップ』(山川恭弘著)より抜粋して、ビジネスパーソンに”必携”の思考法をお届けする。 『バブソン大学で教えている世界一のアントレプレナーシップ』連載第5回 『いま、「社会は起業家を求めている」...世界で活躍する4人の天才から読み解くアントレプレナーが持つ「真の価値」』より続く
学術的な「アントレプレナーシップ」の定義
そもそも「アントレプレナーシップ」とは何か。日本語で言う「起業家精神」ということなのですが、「精神」というと、マインドセットの話にも聞こえます。あるいはウィル、「意志」である。これらは真実でもあるのですが、それだけではないはずです。 学術的には、アントレプレナーシップ研究の礎となる論文となった“The Promise of Entre-preneurship as a Field of Research”でシェーンとベンカタラマンが唱えた“Entrepreneurship as the nexus of individual and opportunity”(個人と機会を繋ぐもの)。 ハーバード・ビジネス・スクールのハワード・スティーブンソン教授の定義によれば「コントロール可能な資源を超越して機会を追求すること」、少しだけかみくだくと「眼の前にビジネスチャンスがあれば、リソースが有るとか無いとかに関係なく、そのチャンスを追求する」ものだということです。あくまでも、学術的な範囲では、アントレプレナーシップはこのように認識されています。 では世間一般ではどうでしょうか? 会社をつくることだったり、事業を起こすこと、これは「起業」です、とてもわかりやすい。このイメージだと、会社をつくって事業を起こすことも、会社内で新規事業を立ち上げることも、すべて含まれます。ところが、そこに「精神」がくっつくことで難解になるのかもしれません。