「演技と自分の心が一体化した」映画『アングリースクワッド 公務員と7人の詐欺師』川栄李奈インタビュー。芝居への思いを語る
内野聖陽と岡田将生がW主演を務め、上田慎一郎がメガホンを取った映画『アングリースクワッド 公務員と7人の詐欺師』が現在公開中だ。今回は、本作に出演する川栄李奈にインタビューを敢行。撮影の裏側や本作の魅力、AKB48を卒業後、俳優として邁進し続ける彼女の役者への想いを存分に語ってもらった。(取材・文:斎藤香) 【写真】川栄李奈の超かわいいスペシャルグラビア! インタビューカット一覧
「『私が引っ張っていく!』という強い気持ちで演じよう
―――最初に出演依頼を受けたときのお気持ちと、脚本を読んでの感想を聞かせてください。 「上田慎一郎監督の作品なので『おもしろそう!』と思いました。あと公務員を内野聖陽さん、天才詐欺師を岡田将生さんが演じられると聞いて、一緒にお仕事できることが楽しみでしたし、脚本も面白かったです。最後まで騙し合いが続き、ハラハラドキドキする展開で、ぜひ出演したい! と思いました」 ―――川栄さんの役は税務署の職員・望月さくら役ですが、このキャラクターに対してどのような解釈をして臨まれましたか? 「上田監督から『さくらは正義感あふれる猪突猛進な女の子です』と説明を受けたので、私自身の中にある正義を大切にしながら演じたいと思いました。さくらは、内野さん演じる熊沢の部下ですが、熊沢が気弱なタイプなので、『私が引っ張っていく!』という強い気持ちで演じようと考えました」 ―――撮影前のリハーサル、税務署チーム、詐欺師チーム、橘チーム(小澤征悦さんが演じる権力者の橘)に分かれて行ったそうですね。 「そうなんです。公務員チームの中で詐欺師たちと関わるのは内野さんが演じる熊沢なので、私は詐欺師チームの皆さんと全然お会いしていないんです。完成披露のときに初めてお会いしました(笑)。だから同じ映画なのに、詐欺師の映画を撮影している感覚がありませんでした。詐欺師チームの空気感がわからないまま完成した映画を見たらすごく面白くて、観客として楽しみました(笑)」
「すごく悔しくて仕方がありませんでした」 演技と自分の心が一体化した瞬間
―――税務署チームの本読みの様子を教えてください。 「税務署らしく真面目に黙々と行っていました。でも内野さんが『望月さくらのキャラクターについて、川栄さんにもっとわかりやすく伝えたほうがいいんじゃないか』と監督に言ってくださって。後日、監督から、さくらのバックボーンが書かれたプロフィールをいただきました。内野さんは本当に細かいとことまで目を配ってらっしゃってすごいなと思いましたし、とてもありがたかったです」 ―――プロフィールに書かれていた望月さくらのバックボーンはどのようなものなのですか? 「お父さんが詐欺師に騙されたことがあり、そのことがきっかけで、国税局で働くことを目標にしてきた女性。父を騙した詐欺師が許せなかったんだと思います。さくらには国税局員になるという強い意志があるので、その気持ちを忘れずに演じようと思いました」 ―――内野さんが演じる熊沢はさくらの上司ですが、バディのような関係でしたね。内野さんと共演して刺激になったり、学びになったりしことはありますか? 「さっきもお話ししたように、私が演じやすいように監督に伝えてくださったり、みんなが現場で動きやすいようにさまざまな提案をしてくださったり、座長として現場を引っ張ってくださいました。私はついていくだけで精一杯でしたが、内野さんの座長としての振る舞いやお芝居を間近で見られたことは本当によかったです」 ―――印象に残っているシーンはありますか? 「さくらは正義感が強いので相手が権力者でも『間違っている』と思ったらドンドン詰め寄ってしまうタイプなんです。だから脱税疑惑にも真正面から切り込もうとするのですが、返り討ちにあって、キャリアの危機に陥ってしまいます。そのシーンを撮影していたとき『さくらは間違っていないのになぜ?』とすごく悔しくて仕方がありませんでした。真面目にコツコツと頑張ってきた者が損をする世界ってどうなんだろうと。世の中にはこういうことは多くあると思うのですが、実際にお芝居でその気持ちを感じてやるせなくなりました。演技と自分の心が一体化した瞬間でしたね」