海外メディアも羽生負傷克服Vを絶賛「医師から棄権勧められたが誇りある決断」
フィギュアスケートのGPシリーズ第5戦ロシア杯の男子フリーが17日、モスクワで行われ、ショートプログラムで首位発進した羽生結弦(23、ANA)が、当日練習でジャンプした際の転倒で右足首を負傷していたにもかかわらず167.89点をたたき出し合計278.42点で優勝した。日本男子最多となるGP10勝目をあげ、5度目の優勝を狙うGPファイナル(12月・カナダ)出場を決めた。会見には松葉杖で登場。負傷を乗り越えての五輪王者の執念Vを海外メディアも称えた。 NBCスポーツは「羽生がロステレコム杯に勝利。松葉杖に支えられ記者会見へ」との見出しを取り「羽生が30点近い差をつけてロステレコム杯を制したが、バックステージには松葉杖をついてきた。五輪を連覇したチャンピオンは、土曜日午前の練習で激しく転倒して右足首をひねったが、数時間後のフリーでは3本の4回転ジャンプを決めて最高得点を出した」と報じた。 「羽生は、練習で転倒した4回転ループをプログラムから外したが、ショートからのリードをさらに10点も広げて持ちこたえた」と伝え、羽生のGPシリーズの連勝は9シーズン目で初めてであることを紹介した。 また記事は、羽生がフリー後にテレビカメラに向かい最後に2度のジャンプで失敗したことを謝罪したことを紹介。 「昨年の11月に羽生は練習中の転倒で右足首の靭帯を痛め、1か月以上も氷上に立てなかった。彼は『今回の怪我はそこまで悪くない』と語っている」とも伝えた。 五輪スポーツを扱うオリンピック・チャンネルは、「羽生がモスクワで勝利も足首を負傷」との見出しを取り「羽生は倒れたが棄権はしなかった。少なくとも今は」と出場を決めた12月のGPファイナルの欠場可能性を示唆した。 「羽生は、朝の練習で痛めた足首の捻挫をいたわり、フリーでは転倒をしながらも勝利をつかんだ。だが、五輪2連覇のチャンピオンは、3週間後にバンクーバーで行われるGPファイナルに間に合うかどうかの苦闘に直面していることを認めている」と、今後への不安を記した。 記事は「羽生が前日のショートの得点で世界記録を更新した後に、メガスポルト・スポーツパレス内にあふれた期待は高かった。20点のリードを持ち、五輪連覇のチャンピオンの勝利は保証されているようにみうけられ、アリーナを埋めた何千人ものファンは、また1度、マスタークラスの演技を望んでいた」と、試合会場の様子をレポート。 続けてブライアン・オーサー・コーチの「羽生は、氷上にほぼ立てないところだった。今朝はずっと治療を受け、彼が滑れるかどうかは大きな疑問だった」という談話を掲載した。さらに「医師から故障が悪化する恐れがあることから棄権を勧められたが、羽生は出場を決断。オーサー・コーチは厳しい状況にありながら(出場の)決断を見せた五輪連覇のチャンピオンに誇りを感じている」と裏舞台を明かした。 オーサー・コーチは「ジャンプの順番を変えなければならず、大きな変更が必要だった」と、プログラムの緊急変更の苦労があったことをコメント。 「羽生はプログラムの最初に予定されていた4回転ループを止めて、4回転サルコウから入った。怪我をしているのにかかわらず滑り続け、トリプルアクセルで彼は転倒した。羽生はフリーで167.89点を獲得、合計点で30点近い大差をつけ、ロステレコム杯で2度目の勝利を収めた」と絶賛した。 だが、その一方で今後の展望については厳しい見解。