物価が上がれば預貯金は「目減り」 どう対策する?
現在、メガバンクの普通預金の金利は0.02%。定期預金にしても、300万円以上の数年契約でようやく0.04~0.06%程度なので、魅力的とは言えません。一方、「アベノミクス」では2年で2%程度の緩やかなインフレを目標としており、物価も上がりつつあります。物価が上がれば、相対的にお金の価値は下がります。2年後に物価が2%上がれば、1000万円の現金は20万円分目減りして、これまでの980万円分の価値しかなくなってしまいます。そこで必要になるのが、自己防衛策です。
インフレ下では「借金」が有利
インフレへの対抗手段の一つとして、重要なのが借金です。1000万円借りても2年後には980万円の価値となり、さらにインフレが進めばさらに安くなるのですから、ローンを組んで家やマンションを買うのはよい方法です。もちろん借金をすれば利子をつけて返さなくてはなりませんが、「全額貯めてから」という考え方では手に入らない物件に住むことが可能になります。 同様に経営者にとっては、銀行から借金をしても投資をした方が収益は大きくなる可能性も考えられます。
お金に「働いてもらう」のも王道
金融資産に替えるのも有効な方法です。一般的なのは、株や投資信託でしょう。株はリスクが大きい一方、株主優待などの楽しみもあります。また、投資信託はお客から集めたお金を、証券会社や銀行の専門家がさまざまな国のさまざまな株や債券に分散して運用するもので、株よりは収益性は下がるものの、リスクも抑えられます(あくまで一般論であり、個別に要検討)。 資産の一部を外貨で持つという方法もあります。米ドルなどで持っておけば、円安に振れたときの緩衝剤ともなります。ハイリスクハイリターンの外貨もあります。 金も不動の人気があります。値動きが意外に激しいので、資産のごく一部に抑えないと振り回されますが、たとえ国が滅んでも価値を保つ輝きが魅力です。小分けできるので、財産分与にも向いています。 個人向け国債を買うという手もあります。「変動10年」「固定5年」「固定3年」の3種があり、しずれもインフレ分をカバーするほどではありませんが、そのときの金利に合わせて切り替えたりすることで、目減りする分をかなり軽減できます。 これらの方法には、成功するものも失敗するものも出るでしょう。複数を組み合わせて、リスク分散をすることが望ましいと思われます。 (広沢大之助・社会科編集者)