柄本佑、『光る君へ』道長出家で丸刈り「若干風邪気味に(笑)」 剃髪シーンで味わった不思議な感覚も明かす
道長の出家は、まひろが旅立ったショックが大きかったからなのか。柄本は「まひろがいなくなった後に出家しているから、そうとしか思えない」と解釈している。 「倫子(黒木華)に出家の理由を言うところで『休みたい』と言っているんです。もう嫌だと。僕が(脚本の)大石(静)先生のいいなと思うところは、地に足がついた感じというか、まひろがいなくなってショックもあるでしょうし、政治的なところもあるんだろうけど、『休みたい』というセリフに行くのが素敵だなと。立派ではない道長さんを作っていただき、そこがとってもいいなと思って演じていました」 また、剃髪シーンで味わった不思議な感覚も教えてくれた。 「剃っている時はどうってことはなかったんです。頭のところでやっていて目に入ってこないから。剃っているという実感は、髪の毛が降ってきて手の甲に当たった時に一気にグッと来ました。触覚で『なくなっていってるんだ』と。そこから不思議体験みたいな感じで、作品の中でそういう風にやれるというのはとっても不思議でした」
「曲水の宴」や「廃邸」のセットに感嘆「すごかった」
平安貴族の世界を見事に表現した美術部の技術が光るセットもドラマの大きな見どころに。柄本は、道長が主催した「曲水の宴」のセットや、まひろと道長が逢瀬を重ねた「廃邸」のセットが特に印象に残っていると語る。 「『曲水の宴』はすごかったですね。川が流れているし。そして、濃いシーンとして『廃邸』も印象深いです。廃邸も一晩ぐらいで池ができるんです。1回馬も入っていて。廃邸のセットの作り込みは美術部さんの技術力をすごく感じました。あっという間に作ってしまうのですごかったです」 道長を演じる上で、セットや衣装などの力は大きいと感じているそうで、「セットと衣装、メイクの力。作り込まれた世界があるから、こちら側はあまり時代劇ということを意識せずにやれるというところがあって、非常に助けられています」と感謝した。 長い期間を共に過ごしたキャスト、スタッフとの絆も実感している。 「1年半一緒にやっていると、絆が出来上がっているところがあって、それはとっても楽しいです。準備期間を入れたら2年以上一緒に戦ってきているので、次の現場はまだ始まってないですけど、そこが不安です(笑)。(現場に)行った時に『誰もいない』みたいな。1年半ぐらい一緒にやっているとその寂しさはあります」 本作で長い期間にわたって道長を演じたことが、自身にとってどんな経験になったか尋ねると、「いろいろ挑戦し、素晴らしい経験をさせていただき、ありがたさを感じていますが、この経験がどんなものだったかというのは10年後ぐらいに感じることなのかなと思います」と言うも、長い期間かけて構築してきた現場の人たちとの関係値の厚みを、短い期間でも出せるのではないかなという思いが芽生えたと明かす。 「1年半現場をやって培われたスタッフさんや監督さんたちとの関係値の厚みを、1日の現場でも凝縮させて出せないかなと。出せないこともないような気がしていて、初対面の人たちとそのぐらいのことができたらいいなという気持ちでいます」と、今後の現場でも『光る君へ』での経験を生かしていくつもりだ。 ■柄本佑 東京都出身。2003年、映画『美しい夏キリシマ』の主人公役で映画デビュー。2018年に主演した『きみの鳥はうたえる』などが評価され、キネマ旬報ベスト・テン最優秀主演男優賞、毎日映画コンクール最優秀男優主演賞などを受賞。近年の主な出演作は、ドラマ『知らなくていいコト』(20)、『天国と地獄~サイコな2人~』(21)、『ドクターホワイト』『空白を満たしなさい』『初恋の悪魔』(22)、映画『火口のふたり』(19)、『痛くない死に方』『心の傷を癒すということ』(21)、『殺すな』『ハケンアニメ!』(22)、『シン・仮面ライダー』『花腐し』(23)など。 (C)NHK
酒井青子