【第96回アカデミー賞】監督賞はクリストファー・ノーラン!『オッペンハイマー』で初のオスカー獲得
現地時間3月10日(日本時間3月11日)、米ロサンゼルスのドルビー・シアターで開催中の第96回アカデミー賞授賞式。監督賞は、『オッペンハイマー』(3月29日公開)のクリストファー・ノーラン監督に輝いた。『ダンケルク』(17)に続く、2度目の監督賞ノミネートとなった今回。オスカーでは無冠だったノーラン監督が、ついに初受賞を果たした。 【写真を見る】主演男優賞を受賞したキリアン・マーフィーの迫真の演技にも注目したい! 第二次世界大戦下、アメリカで立ち上げられた極秘プロジェクト“マンハッタン”計画に参加した天才科学者、J・ロバート・オッペンハイマーの栄光と没落の生涯を実話に基づき描いた本作。自らが開発した原爆が投下されたことでもたらされた惨状を聞いたオッペンハイマーが苦悩し、冷戦や赤狩りなど激動の時代の波に呑み込まれていく。ノーランが監督と脚本を務め、オッペンハイマーを演じるキリアン・マーフィー他、エミリー・ブラント、ロバート・ダウニー・Jr.、マット・デイモンらが出演している。 プレゼンターを務めたのは、スティーヴン・スピルバーグ監督。ステージに上がってスピルバーグ監督とハグを交わしたノーラン監督は、オスカー像を見つめて「多くの人のおかげ」としみじみ。大きな歓声を浴びながら「ユニバーサルの皆さん。この作品の可能性について気づいてくれてありがとう」と切りだし、原作者や、ノーラン作品の常連で本作でオッペンハイマーの苦悩を体現したマーフィーをはじめとするキャスト陣に「トップの人たち」と感謝を述べた。「すばらしいクルーの皆さん、私を信じてくれて感謝します。そして、キャリアを通じて私を支えてくれた家族」と妻でプロデューサーのエマ・トーマスにも言葉を捧げ、「映画には100年以上の歴史がある。すばらしい旅がどこに導かれているかわかりません」とこれからも未知なる映画の可能性にチャレンジする意気込みをにじませ、拍手を浴びていた。 ノーラン監督は1970年7月30日生まれ、イギリスのロンドン出身。1999年の『フォロウィング』で長編映画デビューを果たす。10分前の記憶を忘れる男を主人公にした『メメント』(00)でその名を世界に轟かせ、『バットマン ビギンズ』(05)、『ダークナイト』(08)、『ダークナイト ライジング』(12)の3部作では、2000年代におけるバットマン像を確立。アメコミヒーロー映画の新たな潮流を生んだ。その後も『インセプション』(10)、『インターステラー』(14)、『ダンケルク』(17)、『TENET テネット』(20)など独創的なビジュアルや緻密なストーリーテリングで、常に観客を驚かせている。 『オッペンハイマー』は日本での公開は当初未定となっていたが、配給するビターズ・エンドは「本作が扱う題材が、私たち日本人にとって非常に重要かつ特別な意味を持つものであるため、様々な議論と検討の末、日本公開を決定いたしました」と発表。3月29日より日本での公開を迎える。 文/成田おり枝
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