「危険ドラッグ」国の対応はなぜ後手? 自治体で条例化相次ぐ
まん延する「危険ドラッグ」に対して、全国各地の自治体が条例制定でストップをかけようとしています。鳥取県議会が今月14日、化学成分を特定せずに薬物の製造から所持までを禁じる「包括規制」とも呼ばれる条例改正を全国で初めて可決し、注目を集めました。地方が積極的に手を打つ一方で、国の対策は後手に回っている印象ですが、それはなぜなのでしょうか。
鳥取の条例に「抑止効果」
「我々が投じた一矢が波紋を呼び、影響を与え始めている」 条例可決を受け、鳥取県の平井伸治知事は21日の記者会見でこう胸を張りました。 鳥取県はすでに昨年7月、薬物の濫用の防止に関する条例(薬物乱用防止条例)を全面施行し、人に興奮や幻覚作用を及ぼす有害性のある物質を知事が指定した上で、その製造、販売、所持、使用などを禁じ、罰則も設けていました。 今回はより規制を強化するため、知事指定薬物でなくても大麻や覚醒剤などと同等の有害性がある物を「危険薬物」と定義し、製造から使用までを規制。さらに名称や形状、表示内容、販売方法などの情報から有害性があると考えられる物を「知事指定候補薬物」として、届け出を義務付けるなどの改正がなされました。 従来の規制対象を広げて「危険薬物」を定義する条例は、兵庫県議会も今月6日に可決しています。ただし、罰則の対象は販売店や使用した人で、製造や所持までは踏み込んでいません。一方、東京や愛知、大阪などは製造から所持、使用までを規制していますが、あくまで成分を特定した知事指定薬物に限っています。 鳥取県はこうした各地の規制を「包括的」に盛り込み、次々と新種が出回る危険ドラッグを撲滅しようというのです。 平井知事は「すでにインターネットの販売先として、鳥取県を販売除外地域だとする傾向も出てきた」として、11月17日の施行を前に早くも抑止効果が出始めたと強調しました。 こうした条例化は宮城や石川、千葉、静岡、愛媛、福岡などの各県で検討や準備がされています。その間にも危険ドラッグが関係した事件や事故は相次いでおり、条例制定の動きはさらに広がっていくでしょう。