櫻坂46 山下瞳月が2度目のセンターでグループの顔へ 10thシングルフォーメーションが示すもの
安定感感じる2列目、大きな変化が生まれた3列目
2列目は守屋麗奈、山﨑天、藤吉夏鈴、谷口愛季、田村保乃という前作をほぼ踏襲したフォーメーションになっている。守屋、山﨑、藤吉、田村という歴代のセンター経験者に挟まれる形で中央に位置しているのが前作で3列目のポジションだった谷口。同番組内の企画「9thシングルヒット祈願」での登山修行を三期生のみで行った際には、涙を滲ませながら「大好きなメンバーとBuddies(櫻坂46ファンの呼称)と、ずっと幸せでいられますように」と語っていたのが印象的だった。櫻坂46、そしてメンバーへの愛の強さは誰よりも強い存在だろう。 前作から大きく変化しているのが3列目。向井純葉、大園玲、村山美羽、中嶋優月、松田里奈、武元唯衣というラインナップの中で、特筆すべきは向井の初選抜入りと武元の選抜復帰だ。向井は9thシングル『自業自得』に収録されている三期生楽曲「引きこもる時間はない」にて、初のセンターを経験。クールなまなざしと髪を振り乱すほどの表現力からは今後の伸びしろを感じさせた。向井の成長を感じられたのはBACKSメンバー(選抜メンバー以外のメンバー)の単独ライブ『9th Single BACKS LIVE!!』でのパフォーマンスだ。中でも「美しきNervous」では、センターの向井が堂々とした煽りで会場を盛り上げている姿を見て、パフォーマンスを楽しんでいるようにも思えた。『そこさく』でも発揮しているバラエティ力、その明るいキャラクターで選抜メンバーの雰囲気すらも変えてくれそうだ。「引きこもる時間はない」でのセンター抜擢を経て、向井は新たな個性でグループを色付けてくれるだろう。 また、7thシングル『承認欲求』以来となる選抜入りを果たした武元は、自らの手で掴んだチャンスだ。2024年の上半期は、武元にとって試練の時期でもあった。そんな武元にとって殻を破るきっかけとなったのが、今年5月に千葉・幕張イベントホールにて開催された『8th Single BACKS LIVE!!』である。「Overture」後にステージに登場した武元のソロパフォーマンス、センターとして2度披露した「油を注せ!」での鬼気迫る表情、そして武元がアンコールのMCで語った「私の中で『BACKS LIVE!!』というのはそれぞれが自由に、自分がやりたいようにたくさん研究して、伸び伸びとやれる場所。メンバー12人が、自分がセンターに立つ楽曲に対して熱い思いで向き合ってきた」という言葉は、この公演以降もBACKSメンバーのアイデンティティを表していた。『そこさく』で培われた天性のバラエティ力を発揮している『サクラミーツ』(テレビ朝日系)や『ゴチャ・まぜっ天国!』(MBSラジオ)での前のめりなトークなど、多方面で万能なスキルを発揮している武元の選抜復帰は素直に心強い。彼女の存在は、櫻坂46が坂道を駆け上っていくためには間違いなく必要だ。 向井と武元が選抜入りする一方で、井上梨名と村井優の2人は今回からBACKSメンバーとして活動していくことになる。村井にとって初の経験となる『10th Single BACKS LIVE!!』は、個人にとってもグループにとっても大きな成長の糧となるはず。ラストシングルでBACKSメンバーとしての活動が決まった上村と齋藤の最後の勇姿もしっかりと見届けたい。
川崎龍也