認知症発症遅らせる可能性あり 毎週の頭使いながら体動かす運動 国内で唯一、介入効果が出現 神戸大と市の共同研究で/兵庫・丹波市
20年秋に全国4カ所で始まった認知症予防の本邦初の本格的多因子研究「J―MINT」(代表・国立長寿医療研究センター)の1会場。同様の取り組みを実施したほかの3会場(愛知県、東京都、神奈川県)は、介入効果はなかった。丹波でなぜうまくいったのか、要因を解析中。 他の場所と比べ丹波市の研究参加者は、日常生活を問題なく、元気に過ごせている人が多かった(元々の認知機能が高かった)。コロナ禍にもかかわらず教室が継続開催され、かつ参加率が最も低い回で83・4%と、圧倒的に高かった。他の会場は、病院で検査に引っかかった人や、高齢化率の高い団地の自治会員を対象にしていた。 丹波市は認知症予防のモデルケースとなり得るとし、神戸大は市の協力の元、より詳細な調査を行うとともに、より多くの人が参加でき、継続可能な教室の運営方法を模索する。市内で広く普及している「100歳体操」(195会場)の場を活用し、認知症予防介入の効果を研究する。 身体運動の同体操に、認知機能プログラムを組み込む。頭と体を同時に使う体操のDVDを流すのか、オンライン受講とするのか、全会場か一部のみかなどは検討中で、開始時期も調整中。 研究参加者は教室終了後、自主グループで運動を続けている人もいれば、いない人もいる。これらの人の認知機能などを26年3月末まで定期的にデータ収集する。追跡により、後半グループの認知機能が前半グループと同様に伸びているのかどうか、前半グループの認知機能が維持できるのかどうかなどを調べる。維持できている人がどんな生活習慣なのか、などを明らかにすることを目指す。 【古和久朋教授の話】 2015年にフィンランドで世界初の認知症予防研究が成功した。それよりも、もう少し強い、良い結果が出た。丹波市の成果を論文で世界に発信する。「100歳体操」のような身近な所でプログラムに取り組むことで、健康寿命の延伸や認知症予防効果が得られ、社会保障費の削減につながることが分かれば、削減の一部を予防に使おうという話になるかもしれず、丹波市で研究を継続することは意義がある。