【動画】「情報格差をなくしたい」。日本で唯一の視覚障害者向けラジオ局、新聞記事をていねいに読み上げ
読み手の高齢化や不況の影響、後進育成やスポンサー探しに奔走
だが「長時間、聴きやすいように話す」とはいうものの、辛く悲しい記事を読む時は言葉が詰まってしまうことも。特に2011年の東日本大震災に関連する記事を読んだ時は、ところどころで言葉が詰まったという。放送前に下読みをするものの、当時の担当者は「感情の整理がつかなかった」と話していたという。 これまで26年にわたり、こうした形でボランティアによって新聞が読まれ放送されているが、近年はボランティアの高齢化などが進み、メンバーも200人登録されているものの、実際はの実働は約50人。川越さんは「ローテーションを組むのも大変」と話す。また、近年は不況もあり運営費を回すのも大変。東京にあったスタジオを閉鎖している。 「毎月スタッフの給料日前になると腹がキリキリするんです」と川越さん。日々、スポンサー探しに奔走するが、なかなか厳しい現状だという。だが、視覚障害者の社会格差をなくすためには放送をやめるわけにはいかない。また、講演会などの収録へ行った際は、参加者から「いつも聴いてます」「ありがとう」などの声をかけられる時が、やりがいを感じる瞬間だ。 川越さんは「これまでなんとかやってきているが、著作権法なんかをクリアして、多くの人が気軽に情報を得られるようにしたい。メシが食えないと難しいから」と意気込む。そして、読み手も若い世代へバトンタッチできるよう、後進育成に力を注ぎながら、きょうも放送を続ける。 きょう10日は「目の愛護デー」。はじまりは1931年に中央盲人福祉協会の提唱によって失明予防の運動という位置づけだが、この日に合わせ、各地で目の相談や無料検診が行われるほか、盲学校の活動や盲導犬を紹介したり、点字ブロックの大切さを訴える街頭啓発などが行われている。目の健康とともに、視覚障害を持つ人の気持ちを考えるいい機会なのかもしれない。