火中のにぎり飯巡り攻防 伝統行事「取り追う祭り」 佐賀県伊万里市 神原八幡宮
伊万里市二里町大里の神原八幡宮で4日、火中でにぎり飯を奪い合う伝統行事「取り追う祭り」が行われた。氏子たちは大量の火の粉が乱れ舞う中、観客に見守られながら勇壮に合戦を演じた。 水をかぶった男衆が境内の舞台に攻め入り、供物のにぎり飯を奪いにかかる。守り手は燃え盛るたいまつを舞台の枠に打ちつけ、火の粉の雨を降らせた。「打ちゃえんか(もっと打ってみろ)」と、ひるまず立ち向かう男衆。奪ったにぎり飯は無病息災の縁起物として振る舞った。 14世紀の南北朝時代、この地で武士が火中訓練をしたのが起源とされる。自らも十数年ぶりに参加して火の粉を浴びた地元区長の力武英昭さん(69)は「地域の高齢化で担い手の確保が課題となっているが、若い人たちにつないで長く存続させたい」と話した。(青木宏文)
青木宏文