新型コロナワクチンの接種券が届きましたが、体調不良による欠勤が怖くて放置しています。何かしらのサポート制度はあるのでしょうか?
新型コロナワクチンをはじめ、各種予防接種の際は、その副反応による健康被害が生じることがまれにあります。今回は、予防接種法に定められた、予防接種に伴う健康被害の救済制度について解説します。
予防接種健康被害救済制度の概要
「予防接種健康被害救済制度」は、新型コロナワクチンを含む予防接種法に基づく予防接種を受けた方に「健康被害が生じた」と認められた場合に、市町村が「医療費」および「医療手当」の支給など給付を行う制度です(※)。 給付を受けるためには、その健康被害が予防接種を受けたことによるものであることを、厚生労働大臣に認定される必要があります。
給付の種類と給付額
■1.給付の種類 「予防接種健康被害救済制度」では、予防接種を受けたことによる疾病について、受けた医療に要した費用およびその入院通院などに必要な諸経費が「医療費」および「医療手当」として給付されます(※)。 この他に、予防接種を受けたことにより障害が残ってしまった場合に給付される「障害児養育年金(18歳未満)」または「障害年金(18歳以上)」、予防接種を受けたことにより亡くなった場合に遺族へ給付される「葬祭料」や「死亡一時金」などがあります(※)。 ■2.「医療費」と「医療手当」の給付額 「医療費」の給付額は、保険適用の医療に要した費用から健康保険などによる給付の額を除いた自己負担分、および入院時食事療養費標準負担額などに相当する額となります。 「医療手当」の給付額は、1月当たりの通院日数や入院日数などによりますが、以下の額となっています(※)。 ・通院3日未満:3万5800円(月額) ・通院3日以上:3万7800円(月額) ・入院8日未満:3万5800円(月額) ・入院8日以上:3万7800円(月額) ・入院と通院がある場合:3万7800円(月額)
申請から支給までの流れ
「医療費」と「医療手当」の請求に係る流れは、以下のとおりとなります。なお、「医療手当」のみの請求も可能です(※)。 ■1.申請 健康被害を受けた本人やその家族が、予防接種を受けたときに住民票を登録していた市町村に対して、請求書、受診証明書、領収書等、接種済証、診療録などの必要書類を添えて申請します。 ■2.認定審査 市町村に提出された書類は、厚生労働省に送られ「疾病・障害認定審査会」において審査され、認定または否認が決まります。 ■3.給付・不支給の通知 申請者に対して、市町村から支給または不支給の通知がなされます。なお、救済給付の決定に不服がある場合は、都道府県知事に対して審査請求することもできます。
まとめ
新型コロナワクチンを接種したことにより健康被害が生じたと認められた場合、「予防接種健康被害救済制度」により、該当の健康被害について受けた医療に要した費用およびその入院通院などに要した諸経費が「医療費」および「医療手当」として給付されます。 給付を受けるためには、必要書類を市町村役場に提出し、厚生労働省の「疾病・障害認定審査会」により、予防接種と健康被害との因果関係について認定を受ける必要があります。 出典 (※)厚生労働省 予防接種健康被害救済制度について 執筆者:辻章嗣 ウィングFP相談室 代表 CFP(R)認定者、社会保険労務士
ファイナンシャルフィールド編集部