本郷和人『光る君へ』本郷奏多さん演じる花山天皇に入内した井上咲楽さん演じるよし子は、そのまま「夜御殿」で…そもそも「入内」とは何か
◆衾覆いの儀 なお天皇は夜御殿〈よるのおとど〉というところにいます。寝間着としては直垂〈ひたたれ〉を着て、御悵台〈みちょうだい。ベットのこと)に横になる。 そして衣服を着替えた女性も御悵台に入る。 すると女性の父母、もしくは縁の深い貴族が二人に衾〈ふすま〉を着せかけて、退出する…。 これを衾覆〈ふすまおお〉いの儀、と呼びます。 衾はいまの布団。長方形のものと、掻い巻きのようにえりや袖のあるものがあったようです。 そのあと二人がどうするか・・・。毎度のことながら、ヤボな話はやめましょう。
◆25歳で入内した藤原高子 前回でも触れた平安時代を代表する美男・在原業平。彼と恋の逃避行をしたことで有名な藤原高子は貞観8年(866年)、25歳で入内し清和天皇の女御となりました。 これは当時としては、相当おそい。通常より10年は遅いのではないでしょうか。 その理由はといえば、天皇が幼かったため。実際、結婚したとき天皇は16歳でしたから、高子さんより9歳年少でした。 何としてもわが一族の娘を女御に…という高子の養親・藤原良房(皇族以外ではじめて摂政になった人)の執念がうかがえます。 ※本稿は、『応天の門』(新潮社)に掲載されたコラムの一部を再編集したものです。
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