「男とか女とか言ってられない」担い手不足が変えた伝統芸能の「女人禁制」 タブー視されなくなっても…獅子舞演じた女性が抱く違和感と願い
観客から「女はこんなとこに入ってはいけない」
小林さんは8年ほど前に善光寺門前であった祭りに参加した際、通りすがりの観客に「女はこんなとこに入ってはいけない」と言われたことを覚えている。自分が舞っているのを見た他の団体から「俺らのとこにも女性を入れていいんだ」との声を聞くこともある。その声の裏側には、女性が獅子舞をすることに対する懐疑心が今も横たわっているのではないかとも思う。
担い手不足だから?
今の時代は、幅広い価値観が「受け入れられようとしている」と感じる一方、「担い手不足だから女性も参加して、というのは個人的には違うと思う」と受け止める。獅子舞の魅力は格好良くて、地域で交流の輪を広げられることだ。女性でも誰でもその魅力に触れて「結果的に担い手につながればいい」と願う。
「何かをやることに性別は関係ない」
市内の神社で今夏にあった恒例の祭り。獅子舞の奉納を終えた若山さんと小林さんが獅子頭を持って境内に降りると、子どもたちが「頭かじって」と集まってきた。笑顔で応えた小林さん。「子どもたちに、何かをやることに性別って関係ないと思ってくれたらうれしい」