わさびに記憶力向上の効果が? 研究で明らかに
これらの抗酸化作用と抗炎症作用は、炎症などの記憶喪失の重要なメカニズムの一部に影響を与えます、と彼女は説明する。さらにわさびは、血圧を下げ、メタボリックシンドロームを改善する可能性もあります、と補足するのは、神経科学研究者で「パシフィック・ニューロサイエンス・インスティチュート」の神経学部長を務めるデイル・ブレデセン医学博士。 ただし、記憶力は向上したがほかの認知機能(実行機能や計画能力など)は改善されなかったこの試験は、主観的認知機能低下のない人に対して実施されたことにも触れておきたい。そのためこの記憶力向上効果が、すでに記憶障害に苦しんでいる人にも有効かどうかはまだ分かりません、とブレデセン博士は指摘する。「わさびが、クルクミン(ターメリックに含まれる)のような、そのほかの抗炎症化合物よりも優れているかどうかも不明です」 さらに、「これは非常に限定的な患者グループを対象とした小規模な研究で、すべての人に同じような効果が現れるとは限らないことにも注意が必要です」とプレストさん。ブレデセン博士もこれに同意し「この記憶力向上の効果が、正常な記憶力を持つ人だけでなく、記憶障害の人にも起こるのかを判断することが重要になるでしょう」と話している。
とはいえ、わさびを日常的に取り入れる場合は本物のわさびを摂取するようにしよう。日本以外で本物のわさびを入手するのは困難なので、多くの人が偽わさびを摂取しています、とプレストさんは話している。「わさびは、非常に特殊な生育条件を必要とする植物で、栽培には高いコストがかかります」 プレストさんによると、偽わさびには本物のわさびが約1~3%しか含まれていないという。「偽わさびを食べているかどうかを見分ける方法の一つに、なめらかなペースト状かどうかがあります。本物のわさびは通常、必要な量だけをすりおろしたもので、少しザラザラしています」 本物のわさびを確実に食べたい場合、レストランなどであれば目の前で生わさびをおろしてもらうよう頼むことも可能です、とブレデセン博士は補足する。またわさびを食事と一緒に食べるのが苦手な人は、わさびのサプリを服用することもできます、とブレデセン博士。「試験では、わさびの有効成分である6-MSITC(6-メチルスルフィニルヘキシルイソチオシアネート)を0.8mg使用しました。本物のわさびなら、比較的少量でも同じくらいの量を摂取できます」と彼は説明する。