なぜ東京Vは勝ち切れないのか 一人歩きした「時間稼ぎをしない」の言葉…求められる試合のコントロール力【前園真聖コラム】
8試合中4試合は「もったいない」試合…それでも悲観する必要はない
J1リーグでは16年ぶりとなる東京ヴェルディvsFC東京の東京ダービーが4月13日に行われ、前半に東京Vが2点を先行するものの、後半にFC東京が反撃し、最後は後半アディショナルタイム4分のゴールで同点に追い付いた。最後の最後に勝ち点3を逃した東京Vは、第8節を終えて1勝5分2敗。特徴的なのは、その8試合のうち後半アディショナルタイムの失点が3試合、さらに後半44分の失点もある。試合終盤で勝ちを逃したり同点に追い付かれたりしている一方で、後半アディショナルタイムの得点も2試合あるなど、終了間際にドラマが生まれている。この戦いぶりを、東京VのOBである元日本代表MF前園真聖氏(1997~98、2001~02年在籍)はこう分析した。(取材・構成=森雅史) 【写真】「素晴らしい振る舞い」 東京V、汚された被害看板をクラブスタッフが清掃した実際の1枚 ◇ ◇ ◇ 東京ヴェルディはなかなか勝てていませんが、僕はポジティブに見ています。 ここまで東京Vが戦ったリーグ戦8試合のうち、7試合で後半41分以降にゴールが生まれています。ここにはポイントが2つあると思っています。 1つは、このチームは若く、そしてJ1での経験値が少ないということです。その若さゆえに勝てた、あるいは引き分けられた試合を、同点にされたり敗戦したりと、8試合中4試合はもったいない試合をしてしまっています。もし元日本代表選手のような経験値の高い選手がいれば、きっと防げたことでしょう。 一方で、東京V伝統のテクニカルな面を持っていますし、そこに城福浩監督が、若さを前面に出したアグレッシブさを加えています。これが後半41分以降に同点ゴールを奪ったのが8試合中3試合あることにつながっています。 この2つの点を考えると、決して悲観するようなチームではないと思っています。経験値のない選手たちがJ1リーグの序盤戦を戦うなかで経験値を身につけているように思えるからです。 東京Vに今必要とされるのは、試合をコントロールする力です。試合終盤、勝ったり引き分けになりそうだったら、ゆっくりとボールキープする、上手く相手からのファウルをもらうようにする、攻める様子を見せて相手を下がらせ受けるプレッシャーを弱くする、などが自分たちで時間を進めるプレーです。