大の里が2敗で1差ターン それでも九重審判長のV予想は「追う方が不気味」と一番手/九州場所
大相撲九州場所中日(17日、福岡国際センター)新大関大の里(24)は、平幕翔猿(32)を押し出して6勝目。2敗で場所を折り返した。他の2大関では、琴桜(26)が美ノ海(31)を上手ひねりで破り、欧勝馬(27)を上手投げで下した豊昇龍(25)とともに1敗を守った。首位の1敗は琴桜、豊昇龍、平幕隆の勝(30)、阿武剋(24)の4人。2敗で大の里、平幕阿炎(30)ら4人が追う。 右から強烈な張り手が飛んできたが、委細構わず。大の里が立ち合いで鋭く踏み込み、大きな体を密着させる。平幕翔猿の張り手は不発に終わり、一気に押し出した大の里が6勝目。新大関場所を2敗で折り返した。 「集中して入れた」「集中していた」「集中するだけ」「集中してやるだけ」「集中してがんばります」。支度部屋での報道陣への受け答えも、場所当初から〝集中〟一本に徹している。 大関陣では琴桜と豊昇龍が1敗。大の里は1差で追うが、土俵下で見守った九重審判長(元大関千代大海)は「順番でいえば大の里、琴桜、豊昇龍」。後半戦を見通して大の里を一番手に挙げた。理由はここまでの闘いぶりだ。「体力を使っていない。余力がある。汗をかいた相撲もない。(大の里が)追う方が不気味。引きずり下ろされるとね。この3人が共鳴し合うだろう」。 新大関の優勝は平成18年夏場所の白鵬が最後で昭和以降わずか6人。8日目までに2敗を喫して賜杯を抱いたのは昭和24年秋場所の千代ノ山、同44年名古屋場所の清国がおり、2敗していても悲観することはない。新大関で優勝すれば、来年1月の初場所では「綱とり」も浮上する。 横綱昇進者の大関通過場所数で最短記録は双葉山と照国の「2」だ。照国は大関2場所目の昭和17年夏場所14日目に横綱双葉山を破り、12勝2敗として双葉山と並んだ。優勝が決まる千秋楽に照国が勝つと、双葉山も大関安芸ノ海(1敗)との対戦で勝った。13勝2敗で3人が並んだが、当時は「番付上位優勝制度」があり、双葉山が優勝した。 時代は令和。その手で白星を積めば、新大関が自力で賜杯を抱くチャンスは大いにある。(奥村展也)