パリ五輪決勝の終盤に値千金の3ポイントを決めたカリー「あれは自分でも感動した」
■「自分が打つショットはどれも入ると思っている。リムを見ていたんだ」
8月11日(現地時間10日)。パリオリンピックの5人制男子バスケットボール決勝戦が行われ、大会4連覇中のアメリカ代表と開催国フランス代表が激突した。 フランスはガーション・ヤブセレがレブロン・ジェームズ越しに強烈なダンクをたたき込むなど20得点2リバウンド2スティール、ビクター・ウェンバンヤマがゲームハイの26得点に7リバウンド1スティール、ナンド・デ・コロが12得点3アシスト2スティールを記録。 試合はアメリカが優位に進めるなか、フランスが試合時間残り3分4秒にウェンバンヤマがプットバックダンクを決めて3点差(79-82)まで詰め寄ると、そこからステフィン・カリーに突如スイッチが入る。 残り2分47秒にプルアップで3ポイントシュートを決めると、残り1分52秒、1分19秒にもステップバックから長距離砲をヒット。さらに残り35秒にはディフェンダー2人越しにフェイダウェイ気味の3ポイントを放り込み、粘るフランスを9点差へ広げるとどめの一発を決め切った。 「自分が打つショットはどれも入ると思っている。リムを見ていたんだ。自分の目の前に誰がいるかなんて見ちゃいなかった。ショットクロックが迫っているのは分かっていた。でもあのショットは…あれは僕自身でも思わず感動したよ」 試合後の会見で最後の一発についてそう明かしたカリーは、会場で“Night Night”セレブレーションを披露。その後アメリカはデビン・ブッカーのダンクも決まり、最終スコア98-87でフランスを下して大会5連覇を達成。 カリーはその試合で8本の3ポイントを成功させて24得点に5アシスト2スティールをマーク。セルビア代表との準決勝でも9本の3ポイント成功を含む計36得点8リバウンド2アシスト1スティールを奪った男は、レブロンとともにオールスター5(大会ベスト5)にも名を連ねた。 もっとも、カリーは最後の2戦こそ3ポイント成功率65.4パーセント(17/26)を残したとはいえ、それまでの4戦では25.0パーセント(5/20)にすぎなかった。「最初の数試合、僕としてはまあまあだったんだけど(ショットが)入ることはなかったんだ」と明かしたカリーは、この大会最後の2戦をこう振り返っていた。 「そこでコーチが僕へ継続してやっていくことを思い出させてくれた。あれが最後の2戦で自分を集中させてくれる助けになったんだ。ああいったショットを打つことになって、決め切ることができた。最後の2分半はスペシャルなものだった。チームのみんなが盛り上げてくれたし、自分たちがやっていることには自信があった。僕はその瞬間に立ち会い、楽しんだよ」 アメリカではカリーのほか、ケビン・デュラントが15得点4リバウンド4アシスト、デビン・ブッカーが15得点6リバウンド3アシスト、レブロンが14得点6リバウンド10アシスト2スティールを記録。 36歳で初出場となったオリンピックで見事金メダルを手にした男は「自分が想像していたすべてで、それ以上のものだった」と口にしていた。大会MVPにはレブロンが選ばれたのだが、準決勝と決勝におけるカリーのパフォーマンスは見事というほかなかった。
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