高波や高潮対策で警戒 避難所開設も相次ぐ 台風10号接近に備え中国地方
台風10号の接近に伴い、中国地方では29日、関係機関が対策に追われた。高波や高潮が懸念される沿岸部は防潮扉が閉められるなどし、避難所が各地で開設された。公共施設の休業や休校、イベントの中止決定も相次いだ。 丸太で補強し強風に備えた厳島神社の社殿=29日、廿日市市 ■警戒態勢 広島県広島港湾振興事務所(広島市南区)は、広島港と江田島市の全ての防潮扉計554カ所を午前から順次封鎖した。同事務所の大上勝彦次長は「(30日夜などの)満潮と重なると浸水の危険が増す。万全を期したい」と話した。 宮島(広島県廿日市市)の世界遺産・厳島神社も強風への備えを進めた。海上社殿の一部の壁板を外して風が抜けるようにし、建物を丸太で固定した。表参道商店街では店主たちが土のうを積み、テープでガラスを補強した。 ■避難所 山口県内は全19市町が災害警戒本部を設置するなどし、避難所を開いた。午後5時時点で、周南市や田布施町など16市町が警戒レベル3の高齢者等避難を出し、県全域で719世帯893人が身を寄せた。 広島県内でも広島市が全8区で高齢者等避難を出すなどし、各地で避難所の開設が進んだ。 ■学校・公共施設 広島県教委などによると、午後2時までに広島市や東広島市の小中高校など計240校が30日の休校を決めた。県立美術館(中区)や広島城(同)、安佐動物公園(安佐北区)などは30日は臨時休業する。 イベントは、31日と9月1日に中区で開催予定だったひろしま国際平和文化祭ファイナルイベント「ひろフェス 夏まつり」の中止が決まった。 ■幹線道路 幹線道路も通行止めの可能性がある。西日本高速道路は、30日に山陽自動車道大竹インターチェンジ(IC)―岩国IC間を閉鎖する場合があるとして注意を呼びかけている。
中国新聞社