土屋太鳳の熱演に圧倒された…『海に眠るダイヤモンド』第4話に込められた「反戦」への強い思いとは? 考察レビュー
リナ(池田エライザ)が隠し持っていたものは…。
人間は愚かな生き物で、ときに戦争のような取り返しのつかない過ちを犯す。けれど、百合子が台風のときに窓から投げ捨て、絶対に見つからないと思っていた寿美子の形見であるネックレスを賢将(清水尋也)が見つけてくれたように、奇跡を起こすのも人間だ。 強い意志で戦争に抵抗することもできる。「自分のことのように隣人を愛す」というキリスト教の教えも、平和への一歩なのだろう。だから、百合子は朝子を赦す。戦争が作り出した禍根を次世代に残さないように。 盆踊りの日、朝子を誘った百合子は浴衣を着付けながら、「心から謝りたいの。あなたに許されたい。あなたが許してくれなくても、私は許すわ」と伝える。最後の言葉の意味を、朝子が本当の意味で知ることはない。だけど、「沈黙」というタイトルが物語るように、あえて黙っていることもまた愛だ。 百合子の事情を知りながら、「世間の月並みな、いわゆる恋人同士という関係性を味わってみたかった」と語る彼女の相手をしてあげた賢将。それは恋愛感情からくる行動ではないかもしれない。だが、百合子という一人の人間を大切に思う賢将の愛とも言える。 一方、部屋に大量の札束と、血痕のついた服に包まれた拳銃を隠し持っていたリナ(池田エライザ)は進平(斎藤工)の粋な行動に心を救われる。矢印が入り乱れる端島の若者男女6人の恋の行方は、これで見えた気がした。 しかし、この物語はそんなに簡単な結末を用意してはくれない。 前回、端島の組合費を盗んで逃亡した夏八木(渋川清彦)が撮った映像から、リナの姿を見つけたガラの悪い男たちの魔の手がすぐそこまで迫っている。予告で流れた発砲音が、不穏な始まりを告げた。 【著者プロフィール:苫とり子】 1995年、岡山県生まれ。東京在住。演劇経験を活かし、エンタメライターとしてReal Sound、WEBザテレビジョン、シネマズプラス等にコラムやインタビュー記事を寄稿している。
苫とり子