【政治解説】103万円の壁見直し「国民民主党にうながされて、“仕方なく”やっているように見えるのでは」石破内閣の支持率 再び30%台に低下 国民民主党は支持を伸ばす 2024年12月最新世論調査解説
【竹内】 そこはすごく大事なポイントだと思います。今回の世論調査でも、「企業団体献金」について聞いたところ、「禁止した方がいい」という人は30%で、「透明性を高めるべき」という人は60%でした。つまり、多数の人はむしろ「何でも禁止にしなきゃダメだ。とにかく厳しくしなければダメだ」というわけではないようです。これに対して政界からは、「国民は冷静だ」という声が多く聞かれました。世の中の人が冷静だとすれば、与野党でも現実的で、かつ効果のある再発防止策を決めてほしいです。
103万円の壁見直しは評価されるも支持率は伸びず
【菅原】 今回の調査のポイント、もうひとつは103万の壁について。合意は評価されていましたよね。 【竹内】 評価するが68%でしたから、かなり高い評価だと思います。 【菅原】 やはり減税になりますから、懐が温かくなることは評価するということでしょうか。 【竹内】 ただ一方で、手放しで「とにかくお金が欲しい」ということではないということがわかる調査結果もあります。103万円の壁を見直して、引き上げるときには「財源を考慮して決めるべき」という答えが66%だったんです。 【菅原】 やはり冷静ですね。そこは、政治の側は世論を甘く見ないでほしいところですね。ただ、103万円の壁の見直しが石破内閣の支持につながっているかというと…。今回、下がってしまいましたね。 【竹内】 そこについて、ある経済産業省の幹部の話が、面白い指摘と思いました。「石破総理が決断しているというよりは、国民民主党にうながされて、“仕方なく”やっているように見えるからではないか」と。 もう一つ、与党と国民民主党の政策協議に関して。自民党の閣僚経験者は、「協議が非公式で、プロセスが見えないから、評価しようがないのではないか」と話していました。
自民党支持率低下の一方で、支持を伸ばす“物言う”国民民主党
【菅原】 協議が終わったあとに私たちは取材してカメラの前でコメントをもらったりしますけれど、与党のコメントと国民民主党のコメントの分量であるとか、熱量に差があるようにも感じます。そのあたりも影響するのかなと思います。 【竹内】 そうですね。数字でも裏打ちされていて、政党支持率を見ると、積極的に発信する国民民主党は評価されているように見えます。国民民主党の支持率は前回10%でしたけれど、今回は12%。微増ではありますが、上向きです。 一方、野党第一党の立憲民主党は逆に11%だったのが、今回8%。トレンドでいうと下向きではないかと思われます。今や、野党で一番支持されている政党は国民民主党なんです。自民党も前回30%台を回復していましたが、今回は24%に下がってしまいました。 「プロセスが見えていない」と指摘をした自民党の閣僚経験者は、「自民党が主導してどういう議論が行われているのかを見えるようにしないといけない」と話していました。国民民主党ははっきりものを言って、発言の量も多い。一方、自民党と公明党は、もちろん責任感もあり、慎重ということもあるかと思いますが、やはり発信が少ないように見えます。ですから、こういう状況は自民党としては変えていかなければならないという認識だということです。
世論が“納得する”議論を
ここでポイントになると思うのは、「納得が得られるような議論をしていく」ということだと思います。 ある意味、世の中の人も「理想論だけではダメ」とわかっているわけです。そういう人たちから見て、出た結論だけではなく、なぜそういう結論になったか、議論のプロセスも見えるようにして、政治の側がしっかりと世論の納得を得られるように説明して欲しいと思います。 (日本テレビ 政治部デスク 竹内真 解説委員 菅原薫) ■NNN・読売新聞世論調査 12月13日から15日 全国有権者に電話調査 固定電話 410人 回答率 55% 携帯電話 608人 回答率 32% 合計1018人が回答