ロッテ 朗希のメジャー挑戦容認「思い尊重」 譲渡金より夢応援 今オフポスティング申請
ロッテは9日、佐々木朗希投手(23)の、ポスティングシステムによるメジャー移籍へ向けた手続きを開始すると発表した。プロ5年目の今季はプロ入り最多となる10勝をマーク。球団は、今季を含めたプロ5年間の総合的な判断で入団時から希望するメジャー挑戦を容認した。今後は12月15日の締め切りまでにポスティングシステムの申請手続きを完了。メジャー球団による争奪戦のゴングが鳴る。 夢がかなう時がやってきた。19年ドラフト1位で入団してから5年。球団は佐々木の夢を後押しする形でポスティングシステムによるメジャー挑戦を容認した。令和の怪物が、ついに海を渡る。 「入団してから継続的に将来的なMLB挑戦について耳を傾け、許可していただいた球団には感謝しかありません。一度しかない野球人生で後悔のないように。そして背中を押していただいた皆さまの期待に応えられるように、マイナー契約からはい上がって世界一の選手になれるよう頑張ります」。球団を通じたコメントに、熱い思いを込めた。 岩手・大船渡時代に高校生投手最速タイの160キロをマーク。プロ入り以来、メジャーへの夢を訴え続けてきた。ZOZOマリンスタジアムで対応した松本尚樹球団本部長は、入団時から「早く行って、若い年齢で勝負したい」という熱意を伝えられていたとして、「今までの5年間を総合的に判断し、彼の思いを尊重して容認した」と説明。入団時にメジャー挑戦へ向けた年数や約束などは「これは実際、本当にない。5年でというのは全く決めていなかった」と否定した。CSファーストSで敗退後も話し合いを重ね、プロ5年間で積み重ねたものが容認を勝ち取った。 23歳の佐々木は、25歳未満の海外選手獲得時に契約金や年俸総額が制限され、マイナー契約しか結べない「25歳ルール」の対象。契約金も大きく制限される。ロッテも、今季ドジャースに加入した山本の移籍でオリックスが約75億円を手にしたような高額の譲渡金を得ることはできないが、松本本部長は「そこは意識せずに、本人の思いの強さなどを判断した」とした。 週明けの11日から申請手続きの準備を始め、申請が完了するのは締め切り(12月15日)ギリギリの「12月中旬」とした。そこから争奪戦がスタートし、交渉期間は45日間。25歳未満の海外選手との契約期間は例年1月15日から12月15日までとなっており、移籍球団と正式契約するのは来年1月15日以降になる。 現役時代にメジャーでプレーした吉井監督は「初めて目にした彼の投球は、野茂英雄を初めて見た時以来の衝撃だった。それを向こうでぜひ証明してほしい」と言った。高卒5年目を終えてのメジャー移籍はドジャース・大谷と同じ。佐々木は参加予定の17日のファンフェスタで、固い決意を示して夢舞台に挑む。(秋村 誠人) ◇佐々木 朗希(ささき・ろうき)2001年(平13)11月3日生まれ、岩手県陸前高田市出身の23歳。大船渡3年時に高校日本代表候補合宿で高校史上最速の163キロを計測。同年夏の岩手大会は決勝で疲労を考慮されて登板せずに敗れ、甲子園出場なし。19年ドラフト1位指名でロッテに入団。23年WBCでは侍ジャパンで世界一に貢献した。1メートル92、92キロ。右投げ右打ち。 ▽ポスティングシステム 海外FA権取得前に大リーグに移籍する制度。現在は入札ではなく、獲得を希望する全球団と交渉できる。申請期間は11月1日から12月15日までで、申請手続き後の交渉期間は45日間。日本球団への譲渡金は選手が契約で保証される額により変動する。マイナー契約での譲渡金は、契約金の25%。メジャー契約では保証額のうち2500万ドル(約38億2500万円)までの部分の20%、2500万~5000万ドル(約76億5000万円)の部分の17.5%、5000万ドルを超えた部分の15%の合計となる。