<関西大学ラグビー>古豪復活へ 関西大学の挑戦
関西大学ラグビーAリーグが9月29日、開幕する。3連覇を果たした天理大学をはじめ、昨年2位に躍進した立命館大学や復活を期す同志社大学など各校が、リーグ制覇、そして大学選手権出場を目指す。また、今シーズンは32年ぶりに関西大学がAリーグに復帰し、「関関同立」が44年ぶりに同一リーグに揃った。伝統校同士の戦いにも注目が集まる。
”紺白”がAリーグに帰って来た
“紺白”がAリーグに帰って来た。“紺白”とは、早稲田の“赤黒”、明治の“紫紺”などと同じように関西大学のジャージから取った愛称のこと。過去、大学選手権4度出場し今年、90周年を迎え、明治大学と同じ1923年に創部した伝統校が、長い長いトンネルを抜けて、Aリーグを舞台に戦う。 4月21日に行われた新チームの初戦、関西学院大学との定期戦は、20-26と接戦。スコアだけ見れば、昨シーズン3位の強豪を相手に惜敗ともとれる。しかし、「お互いに新チームの初戦で、精度が悪かった。スコア的には6点差で惜敗かもしれないが、参考にはならない」と、桑原久佳監督。新体制の船出は、決して好スタートではなかったという。それでも、今シーズンから招へいされ、福岡サニックスでプレーした園田昇将ヘッドコーチの指導のもと、トップリーグ流のラグビーを習得。夏には、その福岡サニックスと合同練習を行うなど、着実に力をつけている。また、今夏よりコーチ実績のあるキース・デービス氏も合流。選手だけでなく、桑原監督自身も未体験ゾーンとなるAリーグでの戦いに、万全の準備をしてきた。「勝つためにやってきた。何位を目指すとかじゃなく、1戦1戦、勝ちに行きたい」と桑原監督は語気を強めた。
雑草軍団が支えた時代
31年間、Bリーグに留まった。それでも“雑草軍団”として、持ちうる戦力で力を発揮してきた。各大学がスポーツ推薦枠を拡大したり外国人留学生で戦力補強していく中、関大の部員のほとんどは一般入試を経て入部してくる学生たち。いわば雑草軍団で形成されていた。 以前は、大阪府下で公立の雄とされる進学校の北野高校や天王寺高校、千里高校、夕陽丘高校などのラグビー部は、府大会で上位に入るチームも少なくなかった。そういったチームでプレーしていた”無名の逸材”が関大の門を叩き、チームを支えてきた。また、大阪府下において決して強豪ではない附属校、関大一高の卒業生たちも大学入学後に才能を開花させるなどで、チームの骨となり肉となった。このように成長途上だった選手たちが自由な風土の大学で力を発揮してきた。 ラグビー未経験者で、大学入学後に初めて楕円球に触れるような選手も受け入れてきた。そういった選手の中には、レギュラーを獲得するだけでなく、リーグのベスト15に選出されたツワモノもいる。長年、Bリーグに甘んじていたものの、Cリーグ落ちは一度もなし。現在、全国レベルのチームに成長している天理大学や関西学院大学がCリーグ落ちの屈辱を経験していることを考慮すると、浮上しきれなかったまでも、最低限のプライドを守ってやってきた。