長い歴史で一度も見たことのない「月9」夏目漱石の逸話も 鈴木央士と松本穂香が異色のコンビ演じるドラマ「噓解きレトリック」
【TV視てますか?】 <長い月9の歴史の中で一度も見たことのない、未知の世界観のドラマ>というプロデューサーのコメントに、激しく同意する。 今期のフジテレビ月9ドラマ「噓解きレトリック」。 <大正ロマンと昭和モダンの端境期>を舞台に、最上質のミステリー(レトリックと言い換えていい)が展開。文字通り、レトロとトリックが溶け合っていく。 やたら鋭い観察眼を持つ貧乏探偵・祝左右馬(鈴木央士)と、人の噓を聞き分ける能力をもつ女性・浦部鹿乃子(松本穂香)。その異色コンビが「噓」と「真」の入り交じる難事件を解決していく。 もちろん、月9ならではのラブストーリーでもある。早速、第3話(21日)のラストシーンでみせた。自身の奇妙な能力に悩む鹿乃子に、祝が言う。 「一緒にいると、噓を聞くほうも、聞かれるほうも、便利なことや、しんどいこともたくさん出てくるだろうけど、一人でくるくる悩まないでよ。君はもう、一人じゃないんだから。一緒にいるから悩むんだからさ。一緒に抱えるよ」 そこに主題歌(「革命前夜」eill)が流れ、祝から手を差し伸べられて立ち上がった涙目の鹿乃子が、夜空を見上げて「先生、月がきれいですね」。 わお~っ、そうきたか。明治の頃、英語教師だった夏目漱石が学生に「『アイ・ラブ・ユー』は『月がきれいですね』とでも訳しておきなさい」と教えたという逸話が、真偽はともかく、残っている。 「鹿乃子くん、月見そば、食べて帰ろうか」と応える祝。 鹿乃子のナレーションが<先生のお役に立てるようになりたい。それが今の私の夢です!>とかぶさり、つづく。 月9には、月が似合う。祝の「一緒に」という言葉はNHK朝ドラ「虎に翼」でもたびたび聞かれた。夜空の月もまた、NHK大河「光る君へ」には欠かせない。 「祝」という姓は、あの昭和のヒーロー「月光仮面」の私立探偵・祝十郎と同じだ。 そういえば、朝ドラ「おむすび」には先週、平成のヒロイン「セーラームーン」が出てきた。「私の夢」も。 (新橋のネクタイ巻き)