クリスマスとお正月に合うワインは?ソムリエ紫貴あきが選ぶロゼと泡
ブドウ品種を知ることがワイン堪能の近道
紫貴さんは、ワインを堪能するための近道は、「ブドウ品種の特徴を知ること」だと言います。ワインの香りや味わいは、ブドウの品種ごとに特徴が決まっているからです。 紫貴さんが刊行した「キャラクターでわかるワイン図鑑」には、ブドウの品種を擬人化した、中井わこさんによるかわいらしいキャラクターが描かれています。本書の企画がスタートしたのは約2年前。「山手線の電車や競走馬など意外なものをキャラクター化する動きが活発化しているので、ブドウの品種もキャラクター化してみたら面白いのでは」と版元の編集者に提案され、書籍化が実現しました。 白ブドウ品種で最もポピュラーな「シャルドネ」のキャラクターは、香りにクセがなく、万人受けする品種であることから、「愛されキャラ」の設定。金髪でグリーンの瞳を持つ少女が純白のドレスを着用しています。また、ボージョレ・ヌーボーの代名詞的な品種とされる「ガメイ」は、イチゴキャンディーのような香りと軽い味わいが特徴のため、イチゴを模した帽子と軽快なパンツルックが愛らしい少女がキャラクターとなっています。 こうした親しみやすいキャラクターのイラストをメインに、「香り」「飲み方」「栽培適地」「味の特徴」などをチャート図やイラストを使って解説しています。 紫貴さんが本書で最も苦心したのが、ブドウ品種の出身地を紹介する「起源と歴史」欄と、親子や兄弟などの縁戚関係にある品種を列挙する「親戚」欄だったそう。たとえば、シャルドネの場合は、「ピノ・ノワール」「アリゴテ」「ミュスカデ」「ガメイ」「リースリング」「フルミント」といった品種が親戚になります。このブドウの親戚関係を知ることによって、自分の好みのブドウ品種がどんどん広がっていくというわけです。 ところが、この出身地と親戚関係はしばしば変動するため、正確な情報を把握するのが非常に難しいのだそうです。紫貴さんは、数多くの品種の出身地と親戚関係を猛勉強し、今春、日本人では過去に十数人しか合格者がいないという「VIAイタリアンワイン・アンバサダー」の試験に見事合格。本書には、猛勉強で得た最新の知識がさりげなく盛り込まれているのでした。(読売新聞メディア局 市原尚士)