レッドブル戦略と大宮アルディージャの未来図。派手な補強より期待したいのは、若手選手のスカウティングと強化
自前でチームを支える選手を作り上げるというカラー
そのほか、北米MLSのニューヨーク・レッドブルズ(旧メトロスターズ)やブラジルのレッドブル・ブラガンチーノ(旧アトレティコ・ブラガンチーノ)など、世界展開を進める流れで「レッドブル・グループ」として知られるようになり、ラングニック氏が確立してきた戦術的なフィロソフィーは“レッドブル系”として世界のサッカーファンに認識されている。 2022年からは元ドイツ代表FWのマリオ・ゴメス氏がスポーツ部門のテクニカルディレクターを務めるが、大宮の買収とほぼ時を同じくして、元リバプール監督のユルゲン・クロップ氏がヘッド・オブ・グローバルサッカーに就任したことでも注目を集める。 “ヘヴィーメタル・フットボール”の異名を取る、リズミカルでスピーディなスタイルを打ち立ててきた同氏のスタイルは、ラングニック氏のフィロソフィーを継承しながら、さらなる進化を促すはず。また「レッドブル・グループ」に通じるメソッドの強化はもちろん、スカウティング業務、指導者の養成なども担うようだ。 レッドブルによる大宮の買収によって、同グループのネットワークと資金力を活かした大物外国人選手の獲得をイメージした日本のサッカーファンも少なくないかもしれない。しかし、いきなり派手な補強戦略を取ることはなく、実際は現有選手も含めて、チームの強化や育成環境の整備を進めていきながら、自前でチームを支える選手を作り上げるというカラーが強くなるだろう。 より期待したいのは、若手選手のスカウティングと強化だ。そして大宮を強くすると同時に、世界で活躍できるタレントを育てて送り出すという方針も取っていくのではないか。将来的にはザルツブルクやライプツィヒで活躍する日本人タレントが台頭してくるのが「レッドブル・グループ」の本望でもあるはずだ。 文●河治良幸