再審法改正「賛成」に衆院議員75人 初当選・返り咲き122人対象【静岡新聞社アンケート】
不備が指摘されて久しい再審法(刑事訴訟法の再審規定)を巡り、静岡新聞社は21日までに、10月の衆院選で初当選した議員99人と返り咲きを果たした議員23人の計122人を対象に実施したアンケートをまとめた。75人が回答(回答率61・5%)し、全員が法の不備と法改正の必要性を認めるとともに、検察官に証拠開示を義務付ける必要があるとした。回答者の約6割となる44人は法改正の実現を目指す超党派の議員連盟で活動する意向も示した。 現在の静岡市清水区で一家4人が殺害された事件で死刑とされ、静岡地裁の再審で無罪が確定した袴田巌さん(88)は、再審を請求してから実現までに40年以上の年月がかかった。法の不備が速やかな救済を妨げているとの批判は根強い。 袴田さんをはじめ、検察官の手元に残されていた裁判に未提出の証拠が開示された結果、確定判決の有罪認定が動揺し、再審が開始されたケースは多い。しかし、再審法には検察官に証拠開示を義務付ける規定はない。再審開始決定が出ても検察官は不服を申し立てることが可能なため、袴田さんの再審開始が確定するまでに9年が費やされた。 アンケートでは、再審開始決定に対する検察官の不服申し立てを禁じるかどうかについては見解がやや分かれた。「禁止するべき」は34人(45・3%)、「どちらかといえば禁止するべき」は28人(37・3%)だった一方、「どちらかといえば禁止する必要はない」が10人(13・3%)、「禁止する必要はない」も1人(1・3%)見られた。立法プロセスに関しては「議員立法による」が37人(49・3%)と最多で、「閣法による」が22人(29・3%)、「どちらか早い方」が8人(10・7%)、「分からない」が8人(同)だった。 再審法の改正実現を目指す超党派の国会議員連盟は今年3月に設立された。アンケートで議連に「加入する」を選択した44人の中には、既に加入済みが複数いる。「分からない」は29人(38・7%)で、検討中と付記した人も含んでいる。 議連の会長は自民党の柴山昌彦元文科相が務め、衆院の解散前には350人が所属していた。その半数は自民党の議員だったが、今回のアンケートに同党議員は一人も回答しなかった。 アンケートは11月、対象議員の国会事務所に配布する形で行い、所属政党は衆院選時点に基づいている。静岡新聞社は2023年末、衆参の全国会議員に同様のアンケートを実施。衆院選で議員構成が変化したことを受け、対象を絞って調べた。
静岡新聞社