日本の"空き家"を購入し、経済的な重荷から解放された外国人たち。「ただし、長期安定を得られるわけではない」(海外)
日本には外国人も買える空き家が800万件以上存在する。 ほかの国の高価な不動産と違って、経済的な重荷を負うことのないまま、外国人は空き家を安価で買ってリノベーションしてきた。 【全画像をみる】日本の"空き家"を購入し、経済的な重荷から解放された外国人たち。「ただし、長期安定を得られるわけではない」 しかしほかの国と異なり、日本では家の所有が経済的な自由につながるとは限らない。 ふたりはリノベーションしてからエアビーアンドビー(Airbnb)で貸し出したり、みずからの休暇時の宿にしたりする目的で、田舎にある廃屋──「空き家(Akiya)」と呼ばれる──を4万2000ドル(約630万円、1ドル=150円換算:以下同)で買った。 クロサワ氏とストッカーマンズ氏は2023年の6月、資金を持ち寄り、九州の別府(人口約11万3000人)にある90平方メートル強の廃屋を買ったのだ。 クロサワ氏はカリフォルニア州サンタクルーズにあるトレーラーハウスで、ストッカーマンズ氏はカナダのノバスコシア州にある両親の実家で暮らしている。 多くの人がイタリアやポルトガルなど、世界の住宅市場に目を向けている。そうした土地では、たとえばカリフォルニアのように不動産がとても高価な土地に比べれば、非現実的な価格で家が売られているからだ。加えて、人生にもっと多くの冒険を求める人も増えてきた。言い換えれば、自分の国にはびこる数々の問題から逃れたいと願う人々だ。 日本の住宅・土地統計調査によると、人口の減少が続く同国では、2018年時点で849万件の空き家が記録された。空き家が増えると「ゴーストタウン」問題も生じる。その一方で、購入を望む人にとってはすばらしい機会にもなる。加えて、ほかの国とは異なり、日本は外国人による不動産の購入に制限をかけていない。 2024年1月、クロサワ氏とストッカーマンズ氏は、日本で空き家を見つけて買おうと願う外国人をサポートする目的で「空き家マート(Akiyamart)」というウェブサイトを立ち上げた。外国市場で戸惑う人々をナビゲートするためのツールだ。ただし、これまで多くの人がそうしたサイトなしで夢を実現してきた。 カナダ出身で以前は家族とともにバリ島で暮らしていたエリック・マカスキル氏(38歳)は2021年、2万3600ドル(約345万円)で長野県にある空き家を買った。日本の田舎で古い家を修復するという長年の夢をかなえるために買ったと、同氏は2023年9月にBusiness Insiderに語った。 ジャヤ・サーズフィールド氏(46歳)と彼の妻であるチヒロ氏は、夢の家に改修する目的で、2019年に3万ドル(約450万円)で茨城県にある放置された農家を買った。2021年にBusiness Insiderに話したところによると、夫妻は手ごろな価格で買える広い土地、要するにロンドンでは決して手に入れられないものを探していたそうだ。 スウェーデン人モデルのアントン・ウォルマン氏(30歳)は日本で家を買ってリノベーションするだけでなく、2022年以降大幅な改築を行ないエアビーアンドビーで貸し出すことにした。これは収益化の方法としてアメリカでは成功したが、日本でも確実に利益が得られるという保証はない。 「アメリカと日本は文化がまったく異なっている。不動産市場もぜんぜん違う」と語るのは、「ビッツィー」ことベサニー・ナカムラ氏だ。彼女は去年の7月、Business Insiderに対して、日本で無料で手に入れた空き家にアメリカ合衆国から移住したと語った。日本で家を所有することは「必ずしも経済的自由へつながるわけではない」そうだ。 ナカムラ氏は「アメリカでは持ち家は長期的な安定への切符とみなされるが、ここではそうではない」と付け加えた。 クロサワ氏とストッカーマンズ氏は、買った不動産でお金儲けができればありがたいと言うが、同時にその家を買ったのも、空き家購入支援サイト「空き家マート」を立ち上げたのも、収益目的ではないと説明する。ふたりは日本で過ごす時間を増やし、高い障壁を乗り越える苦労をしなくても家をもつことは可能だと外国の人々に示すことを目標にしている。 「私と同年代の友人の多くは、家を買えないため不満を抱えている」とクロサワ氏は言う。「同年代の人々に『おい、ここには別の選択肢があるぞ』と教えてやりたい。残念ながら、そこはアメリカではないが、とても暮らしやすく、アメリカほどの金銭的なストレスを抱えることなしに、家族を養いながらとても高い生活水準を保てる場所だ」
Jordan Pandy