白塗り顔に王冠、元警官扮する「腹話術人形ヒロ君」…相方の膝に乗り講話「会ったことない人を好きにならない」
岩手県警は、元警察官の菊地洋さん(62)が扮(ふん)する「腹話術人形ヒロ君」に、「特殊詐欺等被害防止サポーター」を委嘱した。岩手県内で相次ぐ特殊詐欺やSNS型投資・ロマンス詐欺の被害防止に向けた広報活動に活躍してもらう狙いで、サポーターの委嘱は38件目。
菊地さんは、一関署勤務の2011年3月からヒロ君としての講話活動をスタート。元々は忘年会での一芸だったが、白塗りの顔に真っ赤な蝶(ちょう)ネクタイ、王冠という目を引くスタイルで、交通安全や詐欺被害防止などをテーマに、笑いを交えながら啓発活動を行ってきた。講話は今年3月に北上署口内駐在所所長で退職するまで13年間、100回以上に及んだ。一度は引退したが、サポーターを委嘱され、活動を再開した。
17日には北上市内で委嘱状の交付式が開かれた。藤林隆博・県警生活安全部長から委嘱状を受け取った菊地さんは早速、地域の高齢者らを前に、相方役の高城剛警部補(47)(鉄道警察隊)の膝の上に乗って講話を披露。SNS型投資・ロマンス詐欺を取り上げ、「簡単なもうけ話には乗らない。会ったことがない人を好きにならない」と呼びかけた。
菊地さんは「ヒロ君として、また多くの人に講話を届けられるのはうれしい。一件でも多く、被害を防ぎたい」と抱負を語った。
岩手県警によると、県内の特殊詐欺被害の認知件数(今年9月末現在)は35件、被害額2億9610万円で、昨年同期と比べて22件、2億6153万円増加した。SNS型投資・ロマンス詐欺も相次いでおり、40件、3億1302万円の被害が確認されている。