2台しか作られなかったメルセデス・ベンツ「600クーペ」って知っていますか? 関係者へのプレゼント用に作られたモデルの正体とは【クルマ昔噺】
メルセデスに貢献した2人にプレゼントした
エンジンを含むメカニカルトレインも共通で、「M100」というコードを持つ6.3L V8でボッシュ製のメカニカルインジェクションを備えたものである。パワーは大したことはなく250ps。それでも、トップスピードは2.5tもある車重をものともせず、204km/hを記録したそうだ。 ではこの2台、いったい何のために作られたのか? 2台のうち1台は長年メルセデスに貢献をし、1965年に退任したエンジニア、フリッツ・ナリンガーにプレゼントとして贈られたものだという。ナリンガーは600の開発でも主要な働きをした人物である。 そしてもう1台だが、同じくメルセデスに多大な貢献をしたルドルフ・ウーレンハウトにプレゼントされたという話もあるが、一方で彼は生涯自分のクルマを所有したことがないという話もあって、あまりにも有名な「300 SLR ウーレンハウトクーペ」も彼本人のクルマではなく、いわゆるメルセデスの社用車。彼はそのクルマを操って、シュトゥットガルト~ミュンヘン間をわずか1時間で駆け抜けたという逸話がある。 というわけで、もう1台のW100クーペはもっぱら社内のテスト用に供されたというのが正しいようだ。ちなみにこのクルマは、ミニカーとしては存在し、それらの多くは「ナリンガー・クーペ」と呼ばれている。残念ながら今に至るまで、現物は見たことがない。そもそも現存するのかどうかもわからないクルマであるが、スクラップにされたという記述もどこにもないのである。
中村孝仁(NAKAMURA Takahito)
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