大阪チタニウム、スポンジチタン生産能力25%増。300億円投じ設備増設・航空機向け需要増
大阪チタニウムテクノロジーズは、主力製品のスポンジチタンの生産能力を25%拡大する方向で最終調整に入った。唯一の生産拠点、尼崎工場(兵庫県尼崎市)に約300億円を投じ、生産設備を増設。稼働時期は今後詰めるが、年産能力を1万トン増やし、5万トン台に引き上げる。 24日に都内で開いた決算説明会で明かした。杉崎康昭社長は「当初は海外立地も含めて検討したが、尼崎に新工場を建設する。できるだけ速やかに着工したい」と表明。完工時期についてはできる限り早期とし、事業環境を見ながら詰めるとした。 6月末に次期社長に就任予定の川福順司取締役専務執行役員も同席し、増強の正式決定に向け「主要顧客には一定のマージンの必要性を求めている。近々に満期を迎える長期契約のベース価格を改定すべく、現在交渉を進めている」と話した。 尼崎工場の生産能力は現在、年間4万トン。既にほぼフル操業の状態で増強が課題になっていた。既設の「1S」と呼ばれる遊休工場を取り壊し、跡地に最新設備を導入する。 スポンジチタン需要は、脱ロシア依存を狙う欧米の航空機産業向けが顕著に伸びており、米国の需要家が輸入を増やす動きを強めている。競合の東邦チタニウムも増強を検討しており、同様の動きが広がる可能性がある。 スポンジチタンは、航空機の機体やエンジン部品に用いるチタン展伸材の原材料。大チタは、世界で4社しか造れないとされるエンジン回転体向けの最高級グレード材も供給している。