涸沼の保全や観察 2拠点 鉾田市と茨城町 水鳥・湿地センター開所 茨城
ラムサール条約登録湿地「涸沼」の保全や野鳥観察などを行う「涸沼水鳥・湿地センター」が9日、茨城県の鉾田市、茨城町にそれぞれ完成し、記念式典が開かれた。涸沼の歴史や豊かな生態系について理解を深め、魅力の発信拠点として期待される。 鉾田市箕輪に整備された観察棟「鈴の音テラス」で行われた式典には、関係者ら約60人が出席し、テープカットで祝った。 同テラスは木造3階建て(屋上付き2階建て)、建築面積154平方メートル。目の前にヨシ原が広がり、スズガモ、マガモなどカモ類が越冬する様子を観察できる。気軽に野鳥観察が楽しめるよう2階に望遠鏡を設置した。また、屋上展望デッキから涸沼の眺望が望め、筑波山と夕焼けが織りなす美しい景観も魅力の一つとなっている。 式典で、関東地方環境事務所(環境省)の神谷洋一所長は「地域の人や国内外からのお客さまに末永く愛される施設となることを願う」とあいさつ。岸田一夫市長は「多くの人に利用いただき、自然環境保護の一端を担う拠点となるよう期待している」と述べた。 茨城町下石崎の「展示施設」で行われた式典には、国会・県会議員や町関者ら約120人が出席し、施設完成を祝った。 同施設は生物多様性や湿地の保全を推進する学習拠点としての役割を担う。木造平屋建て、建築面積は404平方メートル。涸沼の歴史や汽水湖の環境、水鳥、魚類、昆虫、植物など豊かな生態系を紹介する展示コーナーと、多様な保全活動や学習拠点として利用できるレクチャールームの機能を備えた。 展示コーナーではスズガモの模型やヒヌマイトトンボの拡大模型、水生生物の生態展示で、生物の様子をじっくりと観察することができる。伝統のシジミ漁体験コーナーも設ける。 式典で小林宣夫町長は「当センターを拠点に、ラムサール条約の三つの柱である保全再生、賢明な利用、交流学習を推進していく」と述べた。
茨城新聞社