コロナ期に積み上がった米余剰貯蓄、ついに枯渇-SF連銀調査
(ブルームバーグ): 米サンフランシスコ連銀の調査によると、米国の家計は新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)期に蓄えた資金を使い果たした。
同連銀のエコノミスト、ハムザ・アブデルラフマン、ルイス・オリベイラ両氏が3日のブログで、「最新の推計では、米経済におけるパンデミック期の余剰貯蓄がマイナスに転じた。これは、家計が2024年3月時点で、パンデミック期の貯蓄を使い果たしたことを示唆している」と分析した。
パンデミック期の余剰貯蓄(実際の貯蓄とパンデミック前のトレンドとの差)は、20年3月から21年8月までに2兆1000億ドル(約324兆円)に膨れ上がった。以降、家計は毎月平均700億ドルの貯蓄を取り崩し、そのペースは昨秋には月850億ドルまで加速し、今年3月時点で余剰貯蓄は720億ドルのマイナスに転じたという。
米世帯はパンデミックの間、政府による手厚い支援もあり、巣ごもり状態で貯蓄を増やすことが可能だった。連邦準備制度が歴史的なスピードで利上げを実施する中で、米経済は低迷するとの予想をはね返し続けることに、この余剰貯蓄が貢献したと広く考えられている。
継続的な雇用や賃金上昇、他の蓄え、あるいは借り入れの増加など別の手段で支出を維持できる限り、パンデミック期の余剰貯蓄の枯渇が個人消費全体の落ち込みにつながる可能性は低いと両氏は分析している。
需要の後退
ただ、先週発表された米アマゾン・ドット・コムとスターバックスの決算では消費者の節約志向が強まっていることが指摘されている。需要の後退は、消費支出が昨年の力強いペースから鈍化するというブルームバーグ・エコノミクスの予測に沿ったものとなる。
ニューヨーク連銀のウィリアムズ総裁は6日、ロサンゼルスで開かれたミルケン研究所主催のグローバルカンファレンスで、多くの消費者が「支出にかなり慎重になっており、幾分の減速がみられる」との声が小売業者から寄せられていると語った。