「光る君へ」軟骨無形成症のダンサー、DAIKIの挑戦 晴明の従者役で話題
「出演が決まった際、晴明の従者であることはご説明いただきましたが、そのほかに明確な設定はありません。劇中、須麻流が言葉を発しているのは晴明にだけですし、そのほかの出演者の方々と目が合うこともないので、休憩中にユースケさんに“須麻流って(人に)見えているんですかね”と尋ねたこともあります。ちなみにユースケさんは“それ僕も思ったんだよね”とおっしゃっていました(笑)。ネットでは式神(陰陽道などで使われる鬼神)なのかとか、考察する方もいらっしゃいますが、正体がわからないところが逆に魅力でもあると思っています」
撮影初日には須麻流が走るシーンがあり、いつものように両手を振って走っていたところ“それは平安時代の走りではない”と指摘を受けてハッとしたというが、所作においてとりわけ心を砕いたのが胡坐だ。
「僕は身体的に長時間正座をしたり胡坐をかくことができないんですね。それで須麻流に関しては片足だけ膝立ちというふうにアレンジしていただいたんです。須麻流の少し不思議なキャラクターもふまえるといいのではないかと演出の方々がポジティブに考えてくださって。とはいえ、単に“できません”と言うだけではプロではないので、“これだったらできます”“この方法でどうでしょう?”と提案もさせていただいています。スタッフさんが本当に温かい方ばかりで、相談しやすい現場だったことにとても救われました」
特に思い出深いシーンとして残っているのが、4月7日放送・第14回「星落ちてなお」。当時の権力者である関白の藤原兼家(段田安則)の死を描くエピソードで、星空を眺め「今宵、星は落ちる。次なる者も長くはあるまい」とつぶやいた安倍晴明を、須麻流が二度見するというシーンだ。台本上では須麻流について「……」と描かれているのみだった。 「監督からは“はっと何かを思い出したかのように晴明を二度見してください”と言われたんですけど、何を思い出したのかイメージがないと演じられないと思ったので、そこの部分は自分なりに想像を膨らませながら演じました。シーンとしては晴明が兼家の死、そして跡継ぎとなる道隆(井浦新)の早世を予言するというものだったと思いますが、僕としては14回までに晴明と歩んできたすべてがここにつながった、伏線が回収されたといったような感覚でいました。それまで晴明は兼家の命令で人を呪詛したり、危ないことをしてきましたが、きっと須麻流の脳裏にはそういった日々がよぎったのではないかと。加えて、初回の走るシーン。自分にとって大河ドラマの第1歩があのシーンだったので大きく残っていますね」