乃木坂46 中西アルノ、プレッシャーをチャンスに変えてきた2年半 タフさとギャップが新たな武器に
仲介者であり時には“ポンコツ”披露も 5期生メンバーとの関係性を語る
「5期生の仲介者的な役割でいられたらいい」 ──グループ加入から2年半近くが経ちましたが、5期生との関係性に変化はありますか? 中西:5期生だけで活動する時間も長かったので、みんなメンバーであり友達でもありという関係性で、そこは変わっていないのかもしれません。仲良しなのは相変わらずですし、ふざけ合うことも依然と変わらず(笑)。でも、ライブとかお仕事になるとお互いを鼓舞し合って、高め合えるような関係になりますし。そばにいてくれるだけで心強いですし、本当にいい仲間に恵まれたと思います。 ──確かに、見た感じの雰囲気は大きく変わっていないんですが、前に出ていく場面になると一人ひとりが瞬時に実力を発揮させる。そんな強さはどんどん身についているんじゃないかと思います。 中西:確かに。5期生は冠番組『超・乃木坂スター誕生!』をはじめ、『新参者』という形で5期生ライブをさせていただいたり、5期生だけで舞台(今年4月上演、乃木坂46“5期生”版ミュージカル『美少女戦士セーラームーン』)もやらせていただいたりと、まだ3年目なのにたくさんの経験を積ませていただいていて。そういう苦楽をこの11人だったから乗り越えられましたし、私だけじゃなくてきっとみんなが「この子がいてくれるから大丈夫!」と思えるような、そんな頼もしい存在に成長できたんじゃないかと思います。 ──5期生の中における中西さんの役割に変化はありましたか? 以前お話を聞いたときは「よく周りから相談される」とおっしゃっていましたが。 中西:そこはあまり変わってないかもしれません。私は5期生の中では年長組だし、29枚目シングルでセンターに抜擢していただいたり、34枚目シングルではアンダーセンターを務めさせていただいたりと、いろいろ経験してきたという意識もあるので、同期が苦しんでるときにはそこを自分がわかってあげられるかな、共感できるかなと。自分が苦しかった時期にはしょっちゅう連絡をもらったりと、同期にたくさん助けられたので、「今度は私がみんなに何かしてあげられるようになりたい」と常に思っているんです。なので、ちょっと様子が変だなとか元気がないなと感じたら、積極的に声をかけたり、そういう5期生の仲介者的な役割でいられたらいいなと思っています。 ──5期生で挑んだ初舞台『美少女戦士セーラームーン』はどうでした? 中西:稽古期間から本番まで、自分的には苦戦した期間でした。お芝居って「これが正解」という絶対的なものがないので、そこに対してすごく悩みましたし、共演者の皆さんも一流の方ばかりだったので、その中に放り込まれたときに自分の実力不足を顕著に感じてしまって。いろんなショックを受けたタイミングでもありましたね。 ──そんな経験を通じて得られたものは? 中西:それこそ最初は舞台の中でどれだけ目を引くことができるか、その難しさを感じていたんですけど、あるとき仲良くなったアンサンブルの方が「難しく考えすぎだよ? もっとデカい声を出して、デカい動きをして、デカい芝居をしていれば大丈夫だから!」と言ってくださったんです。その言葉で身が軽くなって、「何事も考えすぎはよくない。用意してくださっている場所に身を委ねるよう」という思いで向き合っていったら、どんどん強くなれていることを感じて。難しく考えすぎて自分を追い込みすぎるのはやめようと思えた、大きなきっかけとなりました。 ──あと中西さんといえば、『新参者』や『34thSG アンダーライブ』でドラム演奏も披露しています。『新参者』での初披露は会場で拝見しましたが、そのインパクトは絶大なものがありました。 中西:私もドラムは常々披露したいと思っていたんですけど、どうせならファンの方の期待をいい意味で裏切るようなタイミングに初披露したいなと考えて。『新参者』で「5期生 おひとりさま天国」というメンバーがひとりでステージに挑む企画をやることが決まったとき、きっと私のファンの皆さんは歌で勝負すると想像していたんじゃないかと思うんですけど、このタイミングこそチャンスだと思って、サプライズで披露させていただきました。でも、そこを機にまさか横浜アリーナみたいな大会場でも叩ける日がくるとは、思ってもみませんでした。 「人に見られる意識をより高く持たなきゃいけない」 ──そういう目覚ましい活躍がある一方で、同期からはポンコツだと言われることも少なくないですよね(笑)。 中西:そうなんですよ(苦笑)。ポンコツっていうと可愛く聞こえますけど、自分でも悩むくらい情けないところがたくさんあって。そこは常に直したいなと思っているんですけど、同期が「そういうアルノが面白いんだよ」と言ってくれることでちょっとだけ救われています。 ──最近は先輩方にもバレ始め、『乃木坂工事中』(テレビ東京系)の「新軍団ドラフトバトル」など、いろんな場面でポンコツぶりを披露しています。 中西:まさかあんな形でバレるなんて、本当に恥ずかしくて(笑)。今まではライブでも「Actually...」みたいにカッコいい曲でセンターに立っていたので、そのイメージをつくろっていたところもあったんですが、どんどんポンコツぶりが露呈し始めて……私としては遺憾です(笑)。それこそ、番組が放送されたらファンの皆さんに幻滅されるんじゃないかと思って、「カットになってないかなぁ……」と考えたほどでしたから(笑)。 ──でも、そういうギャップに人間味を覚えて、惹きつけられる人も多いんじゃないかと思いますよ。 中西:そうだといいなあ……そうやってポジティブに捉えていただけるとありがたいです。 ──乃木坂46の36thシングル『チートデイ』では、約2年半ぶりに選抜メンバーとして活動することになりました。まだ右も左もわからなかった『Actually...』の頃とは、また感じ方や受け取り方も異なると思います。 中西:まったく違います。自分の中で特に「私は選抜メンバーになったんだ」と強く実感したのは、7月20日から始まった全国ツアー(『乃木坂46 真夏の全国ツアー 2024』)でのことで。今まで私はアンダーとして後ろのほうで踊っていることが多かったんですけど、選抜になったことで、過去のシングル表題曲で卒業した先輩のポジションに入って披露する機会が増えたのがすごく新鮮で。カメラで抜かれる瞬間も以前より増えたので、人に見られる意識をより高く持たなきゃいけないんだなと感じているところです。ただ、選抜がどうとかアンダーがどうとか、いろんなところで話してきていることではあるんですけど、私にとってはどちらも乃木坂46であって、どちらもすごく素敵だなと思っていて。アンダーライブでぶつけているその気持ちは選抜メンバーもみんな持っていて、それを感じる瞬間もたくさんあるんです。いろんなメンバーのブログも読みますし、トーク(アプリサービス「乃木坂46メッセージ」)も何人か取っていたりするんですけど、そういうものを通して感じるのは、みんなの中にある核は選抜/アンダー問わず一緒なんだということ。そういう意味でも、アンダーで経験したことを今後は選抜での活動を通して発揮できたらいいなと思っているところです。 ──ここから6期生が加入して、5期生もいよいよ先輩という立場になります。 中西:私は『NHK俳句』とか『Spicy Sessions』とか、ひとりで出て行ってたくさんのことを学ぶ環境がグループの外にたくさんあるので、そこで鍛えられたタフさが備わっていると思うんです。そういう武器をさらに活かしながら、自分が先輩方からしていただいたように後輩たちにもいろいろ教えられたらいいなと思っています。
西廣智一