【衆院選】自民関係者が懸念する「保守層の投票棄権」 福井県内、野党側は投票率アップに期待
衆院選小選挙区の福井県内投票率は戦後最低だった2014年の50%から17年55・92%、21年57・77%と増加しつつも、3回連続で60%を下回っている。2選挙区に現行の区割りで過去最多となる10人が立候補し、自民党派閥の裏金事件が関心を集めたことで、陣営の多くは60%を上回るとの見方だ。一方で自民関係者からは「保守層の投票棄権が増える」との声も聞かれる。投票率に影響するとされる投開票日27日の天気は、曇りの予報。 福井1区の前回21年の投票率は56・82%。自民前職の稲田朋美候補を支援する自民県連の関係者は、裏金事件の逆風で「保守層は投票先に悩むかもしれない。自民には入れたくないが、野党も嫌だとなり、結果として投票を棄権する人が増えるのでは」と投票率低下を懸念する。 情勢調査で稲田氏と競る立憲民主党新人の波多野翼候補の陣営は、前回を上回る「60%程度」と予想。若年層や無党派層の関心が高まり投票率が上がれば野党有利だとみて「なんとか投票率を伸ばしたい。期日前投票の利用などを呼びかけていく」と戦略を練る。 共産党新人の金元幸枝候補の陣営も「政治とカネ」の問題に対する関心の高まりから前回超えを予想する。参政党新人の田中こはる候補は30代の同世代に訴える戦略で、陣営は「投票に行く人を増やしたい。65%を超えるよう、その一翼を担いたい」と話す。無所属新人の西山理恵候補の陣営も選挙戦を通じて投票を呼びかけている。「なんとか70~80%に持っていきたい」とする。 福井2区の前回投票率は59・12%。情勢調査で一歩リードする立民新人の辻英之候補の陣営幹部は、前回より少し高い「60~65%ぐらい」を想定する。5人の立候補で「有権者の関心は高まるはず」とみる。自民に対する批判票が野党3候補に分散することを懸念しつつも、「民意がなければ政治は変わらない」と投票を呼びかける。 日本維新の会元職の斉木武志候補の陣営も「62~63%くらいまで伸びるのでは」と予想。辻候補を追う展開の情勢調査を踏まえ、若年層などの取り込みが鍵を握るとし「65%くらいまで上がるとありがたい」と期待する。 自民非公認となった無所属前職の高木毅候補の陣営も有権者の関心の高まりから60%台を予測。「今回は非常に厳しい選挙で組織票だけでは足りない。無党派層などの取り込みが重要であり、投票率が上がってくれた方が望ましい」としている。 元自民衆院議員で無所属の山本拓候補の陣営も「5人の立候補で選択肢が増え、注目度は上がっている」と前回超えを予想。共産新人の小柳茂臣候補の陣営は、各陣営の投票呼びかけが活発化しているとして60%台を予想する一方、政治不信による「投票棄権が増える可能性がある」と懸念も示す。