『放課後カルテ』第1話©日本テレビ

松下洸平主演のドラマ『放課後カルテ』（日本テレビ系）が10月12日（土）より放送開始した。小学校に赴任した口も態度も悪い小児科医が、未来へ向かう子どもたちの背中を押す保険室ヒューマンコメディ。今回は第1話のレビューをお届けする。（文・まっつ）【あらすじ キャスト 解説 考察 評価 レビュー】 【写真】松下洸平に癒される…貴重な未公開写真はこちら。主演ドラマ『放課後カルテ』劇中カット一覧

これほど信頼できる大人はいない…。 児童を“子供扱い”しない牧野先生

『放課後カルテ』（日本テレビ系）が10月12日に放送開始された。小学校の保健室が舞台となったヒューマンドラマで、口も態度もでかい小児科医・牧野（松下洸平）が赴任してくるところから物語はスタート。仏頂面で子供たちから見ると怖い先生だが、児童たちの異変を鋭い観察眼で見抜いていくというストーリーとなっている。 　第1話から「保健室にはなるべく来ないでもらいたい」や「めんっどくさい！これオレがやる仕事か！？」など次々と問題発言を放つ牧野。結果として子供たちを保健室から遠ざけてしまうことにもわるわけだが、1人の大人としてこれほど信頼できる人はいないと感じた。 　保健室の先生といえば、子供たちを常に迎える存在。様々な理由で教室に行けない生徒たちを温かく受け入れ、ケガの応急処置などはもちろん、時には個人的な相談にも乗る器量が必要とされる。だが牧野の場合は、居眠りをしてしまう児童・ゆき（増田梨沙）に対して「勝手に寝るな」と叱ったり、子供目線で優しく接するのが苦手なように見受けられた。 　それなのに、牧野を信頼できると感じたのは児童を“子供扱い”していないという点だ。子供であっても1人の人間として尊重し、医師として応対する。例えば、一向に居眠りが改善しないゆきに対して「俺は医師だ。お前が悩んでいるならその原因を見つけて取り除くのが仕事だ」と率直に伝え、閉ざされていたゆきの心を開くことに成功する。

生徒を一喝する牧野の言葉

　ゆきのナルコレプシーという睡眠障害は複雑だ。明確な原因は解明されておらず、日中に我慢できないほどの眠気に襲われる睡眠発作や、強い感情に伴って体の力が抜ける情動脱力発作などの症状があり、周囲の人間が理解しないことで、本人がより悩みを深めていくケースも多い。 　クラスメイトも病状を理解しようとせず、心無い言葉を浴びせていたが、牧野は「周囲の人間が病気を理解しないことで、知らず知らずのうちに当人を追い詰める。今、お前たちがやっていることだ」と一喝する。 　厳しい言葉ではあるが、核心を突いており、悪気もなくやっている子供たちの行為を矯正するには十分すぎる威力がある。 　子供は大人の真意を見抜く。小手先で子供の機嫌を取ろうとすると、最初は良くても次第にメッキが剥がれ、最終的に子供たちからの信頼を得ることは難しくなる。 「保健室にはなるべく来るな」というのも健康でいてもらいたい気持ちの裏返しだ。牧野のこれほどドライな振る舞い方は、実際の現場では賛否両論あるだろうが、個人的には好感を持った。 　ドラマ内でも、ゆきは「私を初めて見つけてくれた先生」と心を許しており、今後も少しずつ生徒たちの信用を得ていくことだろう。