「オキナグサ」佐賀・福岡県境の基山に春咲く花、住民「何とも言えない可憐さ」…行政と協力して保存活動
国特別史跡「基肄城跡」があり、春と秋には家族連れらが木製のそりで草原の斜面を滑る「草スキー」を楽しむ基山。町民のシンボルとなっているその山は23年、希少な植物を守ろうとする取り組みなどが評価され、美しい草原が残る地域を顕彰する「未来に残したい草原の里100選」の一つに選ばれた。
そして、この冬もまた、基山のオキナグサは住民たちの温かいまなざしに見守られながら、春の訪れを待つ。
冨山さんは言う。
「メンバーたちが使命感を持って取り組む活動が地域に浸透し、基山と植物たちの魅力を広く知ってもらえるようになることを願っている。古里の大切な山だから」
翁の白髪のよう
オキナグサはキンポウゲ科の多年草。3~5月にかけて、白い毛で覆われた赤紫色の花を咲かせた後、名前の由来になっている翁の白髪のような種子ができる。環境省のレッドリストで絶滅危惧2類に分類されており、基山は県内で唯一の自生地という。
2022年1月には、基山町と保存会が協力して、基山に2か所の保護区域を設けた。山頂付近にある自生地を「オキナグサの丘」、草原の登り口付近のエリアを「野の花園」と名付け、登山者らに踏まれてしまったり、誤って刈り取られたりしないように周りを柵で囲む対策をとっている。