【師走ひと模様】心つなぎ警察犬訓練 福島県石川町の藤田智子さん
「前へっ」「待てっ」。寒風が吹く広場に福島県石川町のドッグトレーナー藤田智子さん(36)の凜とした声が響く。愛犬レーガ(シェパード、牝8歳)との訓練が朝の日課だ。歩調を合わせたランニングでは白い息がシンクロする。今冬、県警察捜査嘱託犬の指導手に合格し、1日から活動を開始した。「事件解決や災害救助に少しでも貢献したい」と意気込む。 ◇ ◇ 20年前、中越地震の被災地で災害救助犬ががれきの中から生存者を探し出す映像に感銘を受けた。犬の訓練士を養成する学校に進み、埼玉県の警察犬訓練所に就職した。警察活動に当たる犬の飼育や訓練を担った。厳しいトレーニングを経て、犬との間に強い信頼関係が生まれる喜びを知った。2022(令和4)年には訓練犬の全国大会で準優勝に輝いた。 ◇ ◇ 昨年10月、訓練所を退所した。0歳から育てているレーガを引き取り、石川町に戻った。「ずっと一緒にいようね」。目と目を合わせ約束を交わした。嘱託犬指導や競技会出場犬のトレーニングを補助している。「犬にちゃんと寄り添えば生涯の相棒になれる」。愛犬とともに、そんな経験を伝えていく。